『機動武闘伝Gガンダム』第1話「Gファイト開始! 地球に落ちたガンダム」考察

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あらすじ(ネタバレあり)

第13回ガンダムファイトが開幕する未来世紀60年、ネオジャパン代表のドモン・カッシュは密かに地球へ降り立ちますg-gundam.net。荒廃したネオイタリア・ローマの街に彼が降下したのは、隕石に偽装したガンダム輸送カプセル「ブッドキャリアー」でしたg-gundam.net。ドモンは手に一枚の破れた写真を握りしめ、行く先々で「この男を知らないか?」と人探しをしています。その写真に写る兄キョウジこそ、ドモンが追うターゲットであり、彼はガンダムファイト参加の裏で実兄を捜し出し、奪われたデビルガンダムを回収するという極秘任務を帯びていたのですg-gundam.net

ローマ市内の酒場で、ドモンはマフィアのチンピラたちに絡まれます。彼らはこの街を牛耳るマフィアのボス、ミケロ・チャリオットの手下でした。ドモンはたった一人で大勢のチンピラを相手に圧倒的な強さを見せつけ、瞬く間に叩きのめしてしまいますgundam.dancing-doll.com。しかし乱闘騒ぎに駆けつけた警察により、ドモンは身柄を拘束されてしまいました。取調室に現れたのはドモンの幼馴染でパートナーでもあるレイン・ミカムラ。彼女が身元引受人となりドモンを釈放させ、二人は自由の身になりますgundam.dancing-doll.com

釈放後、ドモンは酒場で出会った孤児の子供たちと行動を共にし、無人同然のホテルで身を休めます。だが突如としてミケロがネオイタリア代表モビルファイター「ネロスガンダム」に搭乗して出現し、卑劣にも子供の一人ソフィアを人質に取ってしまいましたgundam.dancing-doll.com。ミケロはドモンに自分たちのアジトへ来るよう迫り、子供の命と引き換えにガンダムファイトを強要しますg-gundam.net。愛機シャイニングガンダムを起動させたドモンは、誘い込まれたスペイン広場においてミケロのネロスガンダムとの激闘に突入しました。

ミケロはファイト開始前からの奇襲や周囲の街ごと攻撃する乱暴な戦法でドモンを追い詰めますgundam.wiki.cre.jp。しかしドモンは人質を守り抜きながら反撃し、ついに渾身の奥義「シャイニングフィンガー」を発動!シャイニングガンダムの手が閃光を帯び、掴んだネロスガンダムの頭部を粉砕しましたgundam.wiki.cre.jp。ガンダムファイト国際条約第一条「頭部を破壊された者は失格」との規定通り、頭部を破壊されたミケロは敗北が決定しますgundam.dancing-doll.com。戦闘後、ドモンは倒れ伏すミケロに写真を突きつけ「この男を知らないか?」と問い詰めます。しかしミケロは何も語ることなく警部ベルチーノに逮捕され連行されていきましたgundam.wiki.cre.jp。こうして第13回大会最初の戦いはドモンの勝利に終わり、彼は新たな手がかりを求めて次の戦場へと旅立っていきます。

登場キャラクター

  • ドモン・カッシュ – 本作の主人公でネオジャパン代表のガンダムファイター。熱血的な武闘家気質の青年で、単身マフィアの軍勢を倒す格闘能力を持ちますgundam.dancing-doll.com。ガンダムファイト参加の真の目的は、反逆者として追われる実兄キョウジと彼が奪取したデビルガンダムを捜し出すことg-gundam.net。その報酬として冷凍刑に処された父の解放を目指しており、戦いの裏に個人的な宿命を背負っています。普段は寡黙で不器用な性格ながら、義を重んじ弱き人々を放っておけない熱い心の持ち主です。声優は関智一。
  • レイン・ミカムラ – ネオジャパン所属の女性科学者で、ドモンの幼馴染にしてサポート役。彼女はメカニック担当としてシャイニングガンダムの整備や作戦支援を行い、各地でドモンを助けます。第1話では警察に捕まったドモンの身元引受人として現れ、持ち前の冷静さと交渉術で彼を救出しましたgundam.dancing-doll.com。ドモンにとって良き理解者であり、旅の相棒として共に行動します。声優は天野由梨。
  • ミケロ・チャリオット – ネオイタリア代表のガンダムファイターで、本エピソードの敵役。ガンダムファイト参加前はマフィアのボスを務めていた経歴を持ち、私利私欲のために代表選手の座を勝ち取った男ですgundam.wiki.cre.jp。女性や子供に対しても一切容赦がなく、人質取りや脅迫など卑劣な手段を平然と用いる冷酷非道な性格の持ち主gundam.wiki.cre.jp。一方で格闘センスそのものは高く、足技を得意とするなど身体能力も優れていますgundam.wiki.cre.jp。第1話ではドモンを闇討ちし、卑怯な罠で抹殺しようと画策しましたが、シャイニングガンダムとの初戦闘で逆に敗北。ガンダムファイター特権で免除されていた過去の罪が復活し、警察に逮捕されることになりますgundam.wiki.cre.jp。声優は津久井教生。
  • キョウジ・カッシュ – ドモンの兄であり、本編全体を通して鍵を握る人物。かつて父ライゾウ博士が開発していたアルティメットガンダム(デビルガンダム)を強奪し行方不明となったため、ネオジャパンから“反逆者”として追われていますg-gundam.net。写真の中の男として第1話からドモンの回想や台詞に登場し、その姿はドモンの戦いの動機となっています(実際の初登場は写真のみでセリフ等は無し)。彼の行方とデビルガンダムの謎は、物語が進むにつれて少しずつ明かされていきます。

登場モビルファイター

  • シャイニングガンダム – ドモン・カッシュが搭乗するネオジャパン代表モビルファイター。登録番号GF13-017NJja.wikipedia.org。全高16.2m、重量6.8tと歴代ガンダムと比べると小型軽量で、人型格闘兵器「モビルファイター」の一騎として開発されました。近接戦から射撃戦までバランスに優れた性能を持ちgundam.info、格闘戦用のバトルモードでは機体各部が展開し機動力が向上します。最大出力時にはスーパーモードと呼ばれる形態となり、機体色が金色に輝きパイロットスーツも赤く変色するなど演出が入るのが特徴ですja.wikipedia.org(第1話のネロスガンダム戦でも片鱗が確認できますja.wikipedia.org)。武装は腰に装備した大小二振りのビームソード、頭部バルカン砲など標準的ですが、真骨頂は手の平からエネルギーを発生させ相手を握り潰す必殺技「シャイニングフィンガー」ですja.wikipedia.org。劇中ではこの技で相手モビルファイターの頭部を破壊し勝利を収めました。
  • ネロスガンダム – ミケロ・チャリオットが駆るネオイタリア代表モビルファイター。登録番号GF13-055NIgundam.wiki.cre.jpgundam.wiki.cre.jp。中世ローマの騎士鎧をモチーフにした外観を持ちgundam.wiki.cre.jp、ミケロの得意とする足技に合わせ**両脚部に計16門ものビーム砲(サテリコン砲)**を内蔵しているのが大きな特徴ですgundam.wiki.cre.jp。ミケロの蹴り技によってビーム威力が倍増する設定で、彼の必殺技「銀色の脚(ハイパー銀色の脚スペシャル)」では強力なビーム蹴りを放つことが可能とされていますgundam.wiki.cre.jpgundam.wiki.cre.jp。他にも頭部バルカン砲や肩部ビーム砲、腕部に隠し武器の4連装クローを備え、射撃戦から白兵戦までこなせる多彩な武装を持ちますgundam.wiki.cre.jp。第1話ではミケロがこの機体でドモンのシャイニングガンダムを待ち伏せし、不意打ち攻撃でローマ市街ごと葬ろうとしましたが、最後はシャイニングフィンガーを頭部に受けて撃破されていますgundam.wiki.cre.jp
  • デビルガンダム(アルティメットガンダム) – 名称のみ登場。ネオジャパンが極秘開発していた究極のガンダムであり、キョウジが持ち去った機体として物語のキーアイテムとなりますg-gundam.net。その性能や所在は第1話時点では謎に包まれていますが、「地球に落ちたガンダム」というサブタイトルは暗にこのデビルガンダムの地球落下事件を指しているとも考えられます。ドモンが追い求めるこのガンダムの行方は、シリーズを通じて大きな謎として描かれていきます。

技・演出

シャイニングフィンガー – シャイニングガンダムの必殺技。ドモンの手の動きに連動してモビルファイターの手の平から特殊な液体金属が放出され、閃光と共に相手を覆い掴んだ部分を粉砕しますja.wikipedia.org。発動時にはシャイニングガンダムのフェイスカバーが展開し、機体が雄叫びを上げるかのような派手な演出が入ります。第1話ではドモンがこの技でネロスガンダムの頭部を握り潰し、決着をつけましたgundam.wiki.cre.jp。なお、この技には隠れた副次的機能もあり、掴んだ敵機のデータを流用してコンピュータに侵入し情報を探ることができますja.wikipedia.org。実際、第1話でドモンがネロスガンダムの頭部を掴んだ際には一瞬データリンクの描写があり、デビルガンダムに関する手がかりを探る意図が示唆されていますja.wikipedia.org

モビルトレースシステム – Gガンダム世界のパイロット操縦方式も演出的な見どころです。従来のコックピットでレバー操作する方法と異なり、本作のガンダムファイターたちは全身タイツ状の特殊スーツを着込み、機体内部で自分の動きをそのままガンダムにトレース(転写)させて操作します。いわば生身の格闘技と巨大ロボットバトルを直結させたシステムで、ドモンがパンチを繰り出せばガンダムもパンチを放ち、ドモンが受けたダメージはガンダムの損傷としてフィードバックされます。第1話でもドモンがシャイニングガンダムに搭乗する際、このシステムの起動シーンが描かれ、光の網に包まれながらパイロットスーツが形成される演出が印象的です。パイロットの動きを直接反映するため、モビルファイター同士の戦いはまさに人間同士の格闘戦さながらの迫力となり、肉体と機体がシンクロした熱い演出が全編を通じて展開されます。

演出・美術面の特徴 – 第1話冒頭、ドモンたち各国代表のガンダムが地球へ降下するシーンでは、地球全土に謎の巨大なリング状光線や柱が浮かび上がる描写がありましたgundam.dancing-doll.com。これはガンダムファイトの開会を示す演出であり、地球そのものがコロニー国家の格闘場(リング)であることをビジュアルに暗示しています。実際に物語設定でも「地球をリングに各コロニーの代表同士を戦わせる」というルールが語られておりg-gundam.net、それを象徴するかのようなダイナミックな地球スケールの演出でした。また、オープニングアニメーションではドモンが多数の敵モビルファイターの残骸の山の上に立ちはだかるカットや、シャイニングガンダムの必殺技ポーズが決まるカットなど、スーパーロボット的な熱いカット割りが満載です。特に主題歌「飛び込め! 鋼の魂(Flying In The Sky)」に乗せて、ドモンが叫びながらシャイニングフィンガーを放つシーンは視聴者のテンションを一気に引き上げ、第1話から作品の熱量を強烈に印象付けました。

音響・セリフ回し – 演出の熱さは音響面にも表れています。BGMには田中公平氏作曲の勇壮なテーマ曲が用いられ、特にガンダムファイトのテーマやシャイニングフィンガー発動時の曲はヒーロー然とした昂揚感があります。加えて声優陣の熱演も見逃せません。主人公ドモン役の関智一さんは必殺技名を全力で叫び上げ、その有名な決めゼリフ「俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!必殺!シャイニングフィンガー!!gundam-c.comを魂のこもった絶叫で表現します。こうしたセリフ回しと演技の熱さが相まって、視聴者は第1話から一気にGガンダムの世界に引き込まれていきました。

名シーン・名セリフ

  • ドモン、銃弾を素手で受け止める – 序盤、ミケロの部下たちとの乱闘中に起きたワンシーンです。マフィアが発砲した銃弾が酒場の子供に向かった瞬間、ドモンはその子を庇いながら飛び出し、なんと生身の手で銃弾を掴み取ってみせましたnote.com。この超人的な描写は視聴者に主人公の只者ではない強さを印象づけると同時に、ドモンが戦いに巻き込まれる弱き者を放っておけない人物であることを象徴しています。「ガンダムシリーズ」の主人公が生身で銃弾を止めるという大胆なシーンに、多くのファンは度肝を抜かれました。
  • 「何が“ガンダムファイト”だ……!」ベルチーノ警部の嘆き – ドモン逮捕後、取調室でネオイタリアのベルチーノ警部が吐き捨てるセリフです。彼は窓の外に広がる荒廃しきったローマの街並みを見ながら「何が“ガンダムファイト”だ。コロニーの連中は下(地上)の事何かなーんにも考えちゃ居ない!」と怒りを露わにしましたdatenoba.exblog.jp。60年前、幼い彼が宇宙へ打ち上げられるコロニーを見送った回想シーンも挿入され、コロニー国家に見捨てられた地球の惨状が強調されますja.wikipedia.org。この嘆きのセリフは、富裕層が宇宙に移民し地球に残された人々が犠牲になっているという本作の社会背景を端的に表した名台詞として語り継がれています。
  • ドモン渾身の必殺コール – シャイニングフィンガーを放つ際の決めゼリフ。劇中で初めてこのセリフが飛び出す瞬間は最大の盛り上がりポイントです。ドモンはネロスガンダムとの決戦の中、右手を高く掲げて気を練り上げ、「俺のこの手が光って唸る!!お前を倒せと、輝き叫ぶ!!必殺!!シャイニング!!フィンガーーーッ!!!」と魂の叫びを叩きつけますgundam-c.com。この台詞とともに画面には眩い光を放つドモンの右手とシャイニングガンダムの手がシンクロし、敵を掴み砕くカットが描かれました。以降、このセリフはドモンの代名詞としてシリーズを通じて幾度も叫ばれることになります(バリエーションとしてゴッドガンダム搭乗後は「真っ赤に燃える!~ゴッドフィンガー!」に変化)。視聴者の心を鷲掴みにした熱すぎる名セリフであり、平成以降のアニメ名言としてもしばしば引用されます。
  • 「鳴りやがったぁ、待ちに待ったガンダムファイトのゴングがよぉ!!」 – ミケロ・チャリオットの放った劇中セリフ。ドモンが挑戦を受けたことで正式なガンダムファイト開始が宣言された瞬間、興奮したミケロが叫んだ言葉ですgundam.wiki.cre.jp。彼にとってガンダムファイトは私欲を満たす格好の舞台であり、その開幕を告げる一撃(ゴング)を心待ちにしていた様子がうかがえます。このセリフはミケロの狂気じみた興奮と、本作が格闘技大会であることを端的に表現しており、悪役ながら視聴者の印象に残る名シーンとなりました。直後に彼は「ハイパァァァ銀色の脚スペシャァァァル!!」と必殺技名まで絶叫して攻撃に転じますがgundam.wiki.cre.jp、結果はドモンに返り討ちに遭うという痛快な展開でした。

裏話・制作トリビア

ガンダムシリーズ初の大胆な路線変更 – 『機動武闘伝Gガンダム』はガンダムシリーズの中でも特筆すべき転換点となった作品です。本作放送前年までの宇宙世紀シリーズ(『Vガンダム』など)で低迷していた商業成績を立て直すため、制作元のサンライズとスポンサーのバンダイは**「ガンダム=戦争ドラマ」という固定観念を破壊する**思い切った方針転換に踏み切りましたdatenoba.exblog.jp。当初は「ポルカガンダム」という火星移民を題材にした従来路線の企画が進行していましたが、1993年末になってバンダイ側から「新シリーズに格闘ゲームの要素を入れるように」と要請が入り、半年以上進んでいた企画が白紙撤回されますja.wikipedia.orgja.wikipedia.org。代替企画として急遽生まれたのが「各国代表が格闘大会を行うガンダム」という斬新なコンセプトであり、ここにGガンダムが誕生しました。総監督には当時『天空のエスカフローネ』監督予定だった今川泰宏氏が大抜擢され、彼の熱量溢れる演出プランのもと企画が二転三転した末に現在のストーリーが作り上げられたといいますja.wikipedia.org

当初のファンの反応と人気の推移 – シリーズ初のパラレルワールド(アナザーガンダム)作品という挑戦的試みは、放送開始当初こそ往年のファンから「ガンダムへの侮辱だ!」と激しい拒絶反応を招きましたja.wikipedia.org。ロボットがプロレスやボクシングのような戦いを繰り広げる作風に戸惑う声も多く、視聴率や関連商品の売上は放送開始から3ヶ月間は低迷していたと伝えられていますja.wikipedia.org。しかし、物語が進みドモンの師匠・東方不敗マスターアジアが登場する新宿編(第11話以降)から評価は一変しますg-gundam.net。夏休みに入る時期と重なったこともあり、小学生の新規ファン層が急増し始め、さらに重厚なドラマ性や師弟愛といった魅力に従来のガンダムファンも引き込まれていきましたja.wikipedia.org。発売される玩具も徐々に人気となり、最終的には主な支持層が小学生と20代後半層にまで広がるヒット作へと成長しますja.wikipedia.org。シリーズ全49話を通して見れば、序盤のコミカルで子供向けに振り切った作風(例:ファラオガンダム登場の第10話など)はファンの抵抗感を解きほぐす“助走”であり、その後は王道熱血展開と濃密な人間ドラマでファンを唸らせたという評価に落ち着いていますg-gundam.net

各国ネタ満載のデザイン – 本作の魅力の一つが、ガンダムのデザインや世界設定に各国家のステレオタイプな要素を思い切り盛り込んだ点です。スペースコロニーは各国ごとに“浮遊大陸”のような独自形状を持ち、一目でどの国かわかるユニークなビジュアルになっていますja.wikipedia.org(例えばネオジャパンのコロニーは日本列島の形そのまま)。モビルファイターもまた同様で、ネオイタリアのネロスガンダムは古代ローマ風、ネオアメリカのガンダムマックスターはアメフト選手+ボクサー風、ネオフランスのガンダムローズは薔薇を象徴、ネオネパールに至っては仏像型のガンダムまでも登場します。極めつけは風車に変形するネオホランドのネーデルガンダムなど、当時のファンからは「こんなのアリか!?」と驚きと笑いを持って迎えられました。デザイン担当の大河原邦男氏や今川監督らスタッフの遊び心が大いに発揮された部分であり、意図的なお国柄ネタによって作品全体がコミカルかつ痛快な世界観に仕上がっています。この大胆な路線は結果としてシリーズの多様化に成功し、本作以降『ガンダムW』『ガンダムX』など宇宙世紀に縛られない新たなガンダム作品群へ道を拓いたのですdatenoba.exblog.jp

今川監督の愛する熱き格闘ロマン – 今川泰宏総監督は少年時代からカンフー映画に熱中し、ブルース・リーやジャッキー・チェン、ジェット・リーといったスターの映画がお気に入りだったと語っていますg-gundam.net。その影響もあってか、Gガンダムには香港映画さながらの武侠的ロマンや肉弾戦のカタルシスが色濃く反映されています。ドモンの必殺技演出はまるで『ドラゴンボール』のようにオーラが可視化される少年漫画テイストですし、師匠である東方不敗マスターアジアとの関係はまさに古龍や金庸といった武俠小説の師弟関係を彷彿とさせます。今川監督はインタビューで「武器がいっぱい出てくるカンフー修行シーンが好きで、Gガンダムでも色んな武器を持たせたかった」などと述べておりg-gundam.net、実際に終盤のゴッドガンダム(バーサーカー状態)では薙刀や棍といった中国武術風の武器を駆使する場面も描かれました。こうした監督自身の趣味嗜好とセンスが作品に投影された結果、Gガンダムは他のシリーズにはない独自の熱量と魅力を放っているのです。

公式情報発信とファン活動 – 2024年には放送30周年を迎え、公式サイトでは各話あらすじや設定資料が公開されるなど情報発信が活発に行われていますg-gundam.netg-gundam.net。ただし公式サイトの注意書きにもある通り、画像などの無断転載は禁止でありg-gundam.net、ファンサイトやブログでも公式画像の取り扱いには配慮が必要です。幸い現在はサンライズ公認のガンダムチャンネルやBlu-rayなどで高品質な映像を容易に視聴できる環境が整っており、ファン同士がネット上で思い出のシーンを共有しやすくなりました。Gガンダムは放送当時こそ賛否両論を巻き起こした作品でしたが、歳月を経て「ガンダムシリーズの中でも随一の熱血娯楽巨編」として再評価が進んでいます。公式からも続編テキストや高額フィギュア展開などアニバーサリー企画が打ち出されるなどg-gundam.net、今なお根強い人気と愛されぶりを証明しています。

解説・考察

第1話のテーマと世界観の導入 – 「Gファイト開始!地球に落ちたガンダム」は、そのタイトル通りガンダムファイトというシリーズ独自の設定を視聴者に叩き込むエピソードです。冒頭ナレーションや劇中の会話から、以下のような本作世界の基本情報が提示されますg-gundam.net

  • 人類は度重なる戦争で荒廃しつつある地球を捨て、宇宙空間にスペースコロニーを建設して国家の中枢を移した(未来世紀(F.C.)という新たな紀年がスタート)。
  • 各国家は4年に一度、戦争の代替として**「ガンダムファイト」と呼ばれる代理戦争大会**を開催する取り決めをしたg-gundam.net。各コロニー国家から代表のモビルファイター(ガンダム)を地球に送り込み、最後の一機になるまで闘わせ、生き残った優勝国に4年間の世界主導権を与えるというルールであるg-gundam.net
  • ガンダムファイトには国際条約が定められており、**「頭部を破壊された者は失格」「コックピットを故意に攻撃してはならない」**等のルールがあるgundam.dancing-doll.com。各ファイターは自国の威信を懸け、公平なリング(=地球)上で1対1の戦闘を行う建前になっている。

以上の設定は、従来のガンダムシリーズとは大きく異なる“スポーツ競技としての戦争”を描くものです。第1話ではさっそくこの建前が空々しい理想論に過ぎないことが示唆されます。ミケロのように自国の利益のためなら条約無視の不正行為(試合前の奇襲や市街地への巻き込み攻撃、人質戦術)も厭わない者がいる一方で、地球に取り残された人々にとってはガンダムファイトなど迷惑極まりないイベントだからです。警部ベルチーノの嘆きdatenoba.exblog.jpにもあったように、コロニーの住民(支配階級)は自分たちの戦いの舞台として地球を好き放題に荒らしており、その犠牲を被るのは地上で暮らす庶民たちです。実際にローマでは権力が地に落ち、マフィアが我が物顔で市民を虐げている描写がありました。つまり**「地球=コロニー国家の捨て石」**という歪んだ社会構造が、本作の根底にあるテーマの一つとなっています。この構図は現実世界の格差社会や強者のエゴに対する風刺とも読め、単なる熱血バトルものに留まらない深みを物語に与えているポイントです。

主人公ドモンという異色のガンダムファイター – ドモン・カッシュはガンダムシリーズの主人公像としては異例のキャラクターです。アムロ・レイ(初代)やカミーユ・ビダン(Ζ)らが「戦争に巻き込まれた少年」だったのに対し、ドモンは自ら修行を積んだ格闘家であり、国家代表として戦うことを選んだ青年です。年齢も前作までの主人公より少し上(設定では20歳前後)で、精神的にも肉体的にもタフなタipesキャラクターと言えます。第1話では彼の底知れぬ強さと寡黙だが熱い人柄が端的に描かれています。生身でチンピラたちを一蹴し、銃弾すら止めてしまう場面note.comからは鍛え抜かれた格闘家としての迫力が伝わりますし、人質の子供を守るため危険を顧みず立ち向かう姿にはヒーロー然とした正義感が滲み出ています。また、ラストで敗れたミケロに写真を見せて兄の行方を問い質すシーンでは、ドモンの個人的な悲壮な使命が印象付けられました。兄を追う執念と父を救うための戦いという個人的ドラマが、これからのガンダムファイトの旅路に深みを与えていくことになります。ドモンは国家の威信を背負いつつも自らの目的のために戦う**「侍」のような二面性**を持っており、第1話はその導入としても非常に重要な役割を果たしています。

格闘漫画・熱血ロボットアニメの融合 – 第1話時点で既に、Gガンダムは格闘ゲームやバトル漫画のノリを前面に押し出しています。ドモンVSミケロの構図は、まるで『ストリートファイターII』のリュウVSバイソン(マフィアボクサー)戦を彷彿とさせるカードですし、4年に一度の世界大会という設定も当時流行していた対戦格闘ゲーム的トーナメントを意識しています。実際、ネオアメリカ代表チボデー・クロケットはプロボクサー、ネオフランス代表ジョルジュはフェンシングの騎士、とキャラ造形も格ゲーの世界観そのものです。そうしたジャンルミックスがロボットアニメに新風を吹き込んでおり、第1話ではその方向性が明確に打ち出されました。さらに本作は往年のスーパーロボットアニメのエッセンスも取り入れており、必殺技を叫んで敵を倒す様式美や、一話完結で分かりやすい勧善懲悪のストーリー展開など、1970年代~80年代の熱血ヒーローロボット物のテイストが色濃く感じられます。ガンダムでありながらガンダムに囚われない自由奔放さ――それがGガンダムの魅力であり、第1話はその宣言でもあったのです。

サブタイトルの意味するもの – 「地球に落ちたガンダム」というサブタイトルは二重の意味を持つと解釈できます。一つは文字通り、ドモンや各国のガンダムたちが宇宙から地球へと降下してきた物語上の事実です。荒廃した地球に“降ってくる”ガンダムたちの姿は、地上の人々にとっては災厄の種でもあり、また観客にとってはこれから繰り広げられる戦いの幕開けを示すインパクトのある光景でした。もう一つは暗示的に、デビルガンダムという禁断のガンダムが地球に潜伏していることを指している可能性です。劇中では未だ詳細が明かされませんが、ドモンの回想や語りから兄キョウジと共に地球に落ち延びたアルティメットガンダム(=デビルガンダム)の存在が示唆されています。「落ちた(堕ちた)」という言葉には、単に地理的に降り立っただけでなく、ガンダムが“悪魔(デビル)”へと堕ちたというニュアンスも感じ取れます。サブタイトルにより序盤から謎めいた雰囲気を漂わせ、単なるトーナメントバトルものでは終わらない大きな陰謀の存在を匂わせている点は秀逸です。視聴済みのファンにとっては、この第1話の時点で既にラストへの伏線が潜んでいたことに気づかされ、再視聴時には新たな発見をもたらしてくれるでしょう。

筆者コメント(あとがき)

改めて第1話を見返すと、当時子供だった自分が感じたワクワクと衝撃が昨日のことのように蘇ります。初見時、「ガンダムで格闘大会?しかも主人公が生身で殴り合い!?」と驚いたものですが、ドモンの熱すぎる活躍やシャイニングフィンガーのカッコ良さに気付けば画面に釘付けになっていました。生身で銃弾を掴むドモンや、情け容赦ない悪党ミケロなど、第1話からインパクト満点のシーンの連続で、まるでジェットコースターに乗っているかのような爽快感があります。

また、大人になった今振り返ると、ベルチーノ警部のセリフに代表される社会風刺や、ドモンの背負う哀しき宿命など、子供の頃には深く考えなかったテーマにも気づかされます。単なる熱血ロボアニメではなく、**「戦わざるを得ない者たちのドラマ」**がしっかり根底に流れていることに感心しました。おそらく当時はそうした深みよりも必殺技や派手なガンダムのデザインに目を奪われていたと思いますが、それらエンタメ性と物語性のバランスがGガンダムの魅力ですよね。

さらに、声優陣の熱演や今川監督の演出センスなど、大人目線で賞味すると本当に細部まで作り込まれていると感じます。例えば、ドモン役・関智一さんのシャウトには鳥肌が立ちますし、ミケロ役・津久井教生さんの悪役ぶりも見事でした。今川監督お得意の「ここまでやるか!」という振り切った描写の数々(風車ガンダムしかり…)も、今となっては愛おしく思えます。

このブログ記事を書きながら、第1話の懐かしさと新たな発見を存分に味わうことができました。当時の熱気を知る古参ファンの方も、最近シリーズを一気見した新規の方も、ぜひもう一度この第1話を見直してみてください。当時感じた熱い気持ちや、見過ごしていた演出の意図など、新鮮な視点で楽しめること請け合いです。キング・オブ・ハートの称号を持つ男・ドモンの旅はここから始まった!という原点回帰の思いを胸に、これからもGガンダムの世界を語り継いでいきたいですね。

次回予告

次回「唸れ!夢を掴んだ必殺パンチ」 – ニューヨークに舞台を移し、ネオアメリカ代表のガンダムファイターであるチボデー・クロケットが登場!スラム出身から夢と栄光を掴んだアメリカンヒーローに、ドモンがガンダムファイトを申し込みますg-gundam.net。しかしその陰でネオアメリカ国防総省が暗躍し、ドモンを抹殺すべく卑劣な罠を仕掛けてきましたg-gundam.net。偽の決闘場に誘い出され軍のモビルスーツ部隊に包囲されるドモン!苦戦する彼の元に駆け付けた意外な人物とは…?そして放たれるチボデー渾身の一撃、必殺パンチの威力とは?次回も熱い戦いから目が離せません!

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