『機動武闘伝Gガンダム』第2話「唸れ!夢を掴んだ必殺パンチ」考察

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「あらすじ(ネタバレあり)」

ネオアメリカ代表のガンダムファイターであるチボデー・クロケットは、スラム街の出身ながら拳ひとつでスペースコロニーに上り詰め、夢と栄光を掴んだ英雄ですg-gundam.net。物語序盤、主人公のドモン・カッシュはニューヨークに降り立ち、さっそくチボデーにガンダムファイトを申し込みます。しかしその裏では、ネオアメリカの国防総省が暗躍していました。ドモンに嘘の決戦場所を伝え、彼が現れたところを待ち伏せて抹殺しようと企んでいたのですg-gundam.net

偽の決闘場へ赴いたドモンは武装部隊の不意打ちを受け、量産型の無人モビルスーツによる激しい攻撃にさらされ窮地に陥ります。そこへ事情を知ったチボデーが駆けつけ、ドモンを加勢。**「ネオアメリカの恥さらしがぁぁ!!」**と味方であるはずの将軍を叱責し、一緒に敵部隊を撃退します。チボデーはフェアな1対1の戦いを信条としており、卑怯な策を嫌う熱い男だったのですg-gundam.net。こうして共闘した二人は、改めて正式にガンダムファイトでの決着をつけることになります。

後半ではドモン対チボデーのタイマン勝負が展開。拳を交わす激闘の末、ドモンのシャイニングガンダムが必殺技「シャイニングフィンガー」を発動し、チボデーのガンダムマックスターの右腕部を破壊します。ドモンは敢えてトドメを刺さず勝負ありと判断しました。そのため敗北を悟ったチボデーは一時「これで俺の夢も、この右腕と共に終わったのさ…」と絶望します。しかし、駆けつけた観衆やサポートクルーの少女たちが**「あなたは私達の夢よ!」「負けないで、チボデー!」と熱い声援を送ったことで彼は再起datenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。ガンダムファイト国際条約第3条「優勝への夢を持っていれば何度でも立ち上がれる」datenoba.exblog.jpという言葉を胸に、再び立ち上がる決意を固めます。そして最後はチボデーが「今日は俺の負けだ!この借りはいつか返すぜ!」と爽やかに敗北を認め、ドモンも「チボデー・クロケット…ナイスガイ!」**と称賛。互いの健闘を讃え合いながら、第2話の幕は下りるのでした。

2. 登場キャラクター

チボデー・クロケット(声:大塚芳忠) – ネオアメリカ代表のガンダムファイター。20歳。スラム出身の孤児でしたが、その卓越したボクシングセンスを見出され宇宙コロニーへ渡り、ボクシングのコロニーチャンピオンにまで上り詰めた、生ける“アメリカンドリーム”の体現者ですg-gundam.netdatenoba.exblog.jp。幼少時に体験した事件からピエロが大の苦手という一面も持ち、後に語られるトラウマ設定もありますが、本話では主に**「拳ひとつで夢を掴んだ英雄」としてニューヨーク市民の絶大な人気を集めていますg-gundam.net。誇り高く正々堂々とした勝負を信条とする熱血漢で、不正を働く自国の軍人すら許せない義侠心の持ち主です。決めゼリフは戦いの後に放った「アイルビーバァァック!!」**(I’ll be back)で、当時流行していたハリウッド映画の名台詞を彷彿とさせる洒落た演出も光りましたdatenoba.exblog.jp

ドモン・カッシュ(声:関智一) – ネオジャパン代表のガンダムファイターで本作の主人公。20歳。チボデーとは対照的に寡黙で熱くストイックな青年です。幼馴染でメカニックパートナーのレイン・ミカムラ(声:天野由梨)も本話に登場。ドモンはデビルガンダム追跡という極秘任務を帯び地球を転戦中であり、兄を捜す手がかりを得るため各国ファイターに勝負を挑んでいます。本話でも写真の男(兄キョウジ)についてチボデーに尋ねますが、**「ふざけるな!戦いの最中だぞ!」**と一蹴されてしまいましたdatenoba.exblog.jp。最終的にシャイニングガンダムで勝利を収めるものの、チボデーの潔さと人柄を感じ取り、頭部を破壊して失格にさせることは避けています。「ナイスガイ!」という劇中でも珍しいドモンのジョーク交じりの誉め言葉には、チボデーへの敬意と友情がにじんでいましたdatenoba.exblog.jp

チボデー・ギャルズ – チボデーのサポートクルー兼応援団を務める4人の17歳の少女たち。リーダー格でメカニック担当のシャリー・レーン、同じくメカニック担当のジャネット・スミス、サブリーダーで医療担当のキャス・ロナリー、通信担当でトラブルメーカーのバニー・ヒギンズという個性豊かなメンバー構成ですja.wikipedia.orgja.wikipedia.org。本話ではチボデーの付き人として彼を支え、彼が敗北しかけた際には真っ先に駆け寄って**「チボデー!立ってよ!」**と涙ながらに励ます姿が描かれましたdatenoba.exblog.jp。4人揃っての熱烈な声援は、彼にもう一度拳を握らせる大きな原動力となりました。彼女たちはチボデーにとってファンであると同時にかけがえのない仲間であり、物語後半でも重要な役割を果たします。

ネオアメリカ国防総省の将軍 – 本話の黒幕的存在。名前は劇中では明かされませんが、設定上はショーン・ダグラスという将軍で、部下を率いドモン抹殺を図りましたja.wikipedia.org。ガンダムファイトの優勝による功績のみを狙ってコロニーへの出世しか頭になく、英雄チボデーの実力すら軽んじる野心家ですja.wikipedia.org。欺瞞工作でドモンを罠にかけますが、フェアプレー精神に燃えるチボデーに**「ネオアメリカの恥さらし」と一喝され逆上。搭乗していた可変モビルスーツ「マーフィー」でチボデーごとドモンを葬ろうとします。しかしチボデーの渾身の一撃により機体ごと粉砕され、「呆気なく散った」**哀れな悪役でしたja.wikipedia.org。彼の存在はスポーツマンシップに反する権威の象徴として、本話におけるもう一つの敵と言えるでしょう。

ストーカー(語り部) – 赤いスーツに口ひげ、右目に眼帯をした謎の男。本作のナレーター兼実況役ですja.wikipedia.org。第2話より本編映像に登場し、静かな口調で前回までのあらすじを語ったかと思うと、突然テンションを上げて小指を立てたマイクパフォーマンスとともに**「それでは!ガンダムファイト、レディー…ゴーッ!!」**という掛け声で試合開始を宣言しますja.wikipedia.org。物語の世界観に介入しない第四の壁的存在であり、各話の導入と次回予告で独特の語り口を披露します。本話でもガンダムファイトのルールや設定を視聴者に説明し、チボデー対ドモンの対戦カードを盛り上げる役割を果たしました。その怪演ぶりはシリーズの名物であり、一度見たら忘れられない強烈なキャラクターです。

3. 登場モビルファイター

シャイニングガンダム(ネオジャパン代表機) – ドモンが搭乗するモビルファイター(型式番号 GF13-017NJ)。白と紺を基調に黄金の装飾を備えた日本武士をイメージさせる機体です。頭部には武者兜のような飾りを持ち、平時は紺色のマスクフェイスですが、胸部エナジーマルチプライヤーを開放して**「スーパーモード」を発動すると頭部が開き怒りの表情を覗かせるギミックがあります(本話では未使用)。武装はビームソード2本と頭部バルカン砲などを装備しますが、あえて火器に頼らず拳法殺法を主体とするのが特徴です。最大の切り札は右手を発光させて敵を破壊する近接必殺技「シャイニングフィンガー」であり、本話ではドモンがこの技でガンダムマックスターの右腕を粉砕し勝利しましたdatenoba.exblog.jp。ドモンは技発動時に「必殺!シャイニングフィンガー!!」と叫び、敵を掴んだ後「これで終わりだぁ!」**と一撃必殺を叩き込む演出が定番です。シャイニングフィンガーは初登場の第1話から既に観客の度肝を抜いていましたが、本話でもその威力は健在。熱い叫びとともに繰り出される黄金の光の拳は、シリーズ屈指の必殺シーンと言えるでしょう。

ガンダムマックスター(ネオアメリカ代表機) – チボデーが搭乗するモビルファイター(型式番号 GF13-006NA)。全高16.3m。アメフト選手とボクサー、そしてガンマンやサーファーなど**「ザ・アメリカン」な意匠を融合させたユニークなデザインが特徴ですja.wikipedia.org。厚い胸部装甲と肩のアーマーは一見アメリカンフットボールのプロテクターですが、戦闘時にはパージ(装甲排除)して機動性を高め、左右の肩アーマーは巨大なボクシンググローブとして拳に装着可能。この形態を「ボクサーモード」と呼び、まるで鍛え抜かれたボクサーの上半身のようなシルエットに変形しますdatenoba.exblog.jp。武装は射撃用の2丁拳銃(ギガンティックマグナム)や頭部バルカン砲、サーフボード状にもなる盾も備えますが、本戦でチボデーはそれらをほとんど使わず拳一つで戦いました(監督の今川氏も「武器を盛り込みすぎるとシャイニングフィンガーなど拳の必殺技が霞む」と語っており、本作では意図的に肉弾戦が強調されていますg-gundam.net)。必殺技はストレートパンチによる「バーニングパンチ」と、連続十発の大技「豪熱マシンガンパンチ」ですが、いずれも後のエピソードで披露されるもので、本話では名称こそ出ませんが代わりに「サイクロンパンチ(竜巻パンチ)」とも呼ぶべき技を見せてくれますja.wikipedia.orgja.wikipedia.org。ボクサーモードで放った渾身のストレートは凄まじい衝撃波とともに竜巻を巻き起こし、飛来するミサイル群をまとめて粉砕するという離れ業を演出datenoba.exblog.jp。この竜巻を纏った必殺パンチ**こそが、本話サブタイトル「夢を掴んだ必殺パンチ」を象徴するシーンとなりました。

4. 技・演出

本話は格闘シーンのみならず、演出的な見どころにも溢れています。冒頭では謎の語り部ストーカーが登場し、薄暗いニューヨークの路上で小さな椅子に腰かけながら淡々と**「60年前、人類は宇宙コロニーに移住し、戦争の代わりに4年に一度のガンダムファイトで決着をつける制度を作り上げた…」という世界設定を語りますdatenoba.exblog.jp。しかし説明が終わるや否や、彼はおもむろに上着と眼帯を外し、甲高い声で「それでは!ガンダムファイト…レディー、ゴーッ!!」と叫んで試合開始を宣言datenoba.exblog.jp。ストーカーの存在は、単なるナレーションにとどまらずリングアナウンサー的演出**で物語を盛り上げるユニークな試みでした。このシュールな演出により、一気に観客のボルテージを上げてから本編の対戦シーンに突入する流れは、第2話ならではのインパクトがあります。

試合の舞台演出も見応え十分です。ニューヨークのコロシアムでは大観衆を前に華々しい前座イベントが開催され、実況アナが**「ネオアメリカの皆様! 静まり返っていたこのニューヨークに再び活気が戻っております!」と熱弁datenoba.exblog.jp。その理由はもちろん「我らが英雄、チボデー・クロケットが帰ってきたからです!」というわけで、観客の大合唱による「チボデー・クロケット!」**コールまで巻き起こりますdatenoba.exblog.jp。廃墟同然だった地球の都市が、一人のヒーローの凱旋で活気を取り戻す様子は痛快であり、荒廃した未来世紀世界における一筋の光としてチボデーの存在感を際立たせています。

ガンダムファイトのアクション演出もテンションMaxです。ドモンが挑んだ偽のタイトルマッチでは、なんとボクシンググローブをはめたドモンがリングに立つという異色のシーンも登場しました。これはチボデーをおびき出すためのエキシビションマッチという建前でしたが、実際はドモンを始末するための罠。しかしリング上で孤軍奮闘するドモンの姿はさながらボクシング漫画の主人公のようで、彼が構えるガードやフットワークなど細かな所作もボクサーさながらに描かれています。こうしたスポーツ的演出はGガンダムならでは。格闘技アニメとしての側面を存分に楽しめる場面でした。

また、チボデーの必殺パンチの演出も特筆に値します。モビルスーツ形態から戦闘ヘリに可変する敵機“マーフィー”を相手に、チボデーは豪腕を唸らせて応戦。「シュゥトッ!」という掛け声とともに叩き出された拳は空気を割く音速の一撃で、渦巻く竜巻エフェクトがスクリーンいっぱいに描かれましたdatenoba.exblog.jp。このパンチが放たれた瞬間、周囲のミサイルは一瞬で木っ端微塵となり、マーフィーもろとも粉砕されてしまいますdatenoba.exblog.jp。格闘ゲームさながらのド派手なエフェクト表現に、当時ワクワクした視聴者も多かったことでしょう。セル画アニメならではの迫力あるスピード線爆発の作画が相まって、拳一発で戦況をひっくり返す痛快さが存分に強調されています。

さらに戦闘シーンでは、ガンダムマックスターのギミックも余すところなく活用されました。チボデーが**「なら行くぜぇ!おおお!!」と雄叫びを上げると同時に機体の胸部装甲が吹き飛び、肩の大型アーマーが両拳に装着されてボクサーモードへ変形datenoba.exblog.jp。鍛え抜かれた肉体美を思わせる胸板と、ブースター付きのグローブ状肩アーマーが相まって、重量級ボクサーがリングに立ったかのような重厚感が映像から伝わってきますdatenoba.exblog.jp。そして真っ向から殴り合うシャイニングガンダムとの肉弾戦。衝撃で大地が割れ、建物が揺れるような描写はスーパーロボットアニメ的な誇張表現ですが、それが本作の持ち味でもあります。最後はチボデー渾身の右ストレートに対し、ドモンが右手で受け止め力勝負に勝つという激アツ展開datenoba.exblog.jp「何?!力負けしているだとぉ!?」**と焦るチボデーの叫びとともに、勝敗は紙一重で決しましたdatenoba.exblog.jp。これらの演出はまるでプロレスやボクシングの試合を見ているかのような臨場感で、第2話を大いに盛り上げています。

5. 名シーン・名セリフ

第2話にはシリーズファンの心に残る名シーンや名セリフが数多く登場しました。その中から特に印象的なものを振り返ってみましょう。

  • ニューヨークの酒場での会話シーン:チボデーの幼少期を知るバーの店主が、ドモンに彼の過去を語る場面です。**「あの子も立派になったもんだねぇ…」と感慨深げに語る老人と、それに静かに相槌を打つマント姿のドモンdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。さらに常連客の少年ボビーが「夢を掴んだんだ、あの人は!強くなればコロニーで英雄になれる!だから俺たちの希望の星さ!」と興奮気味に語るシーンでは、荒んだスラム街の人々にとってチボデーがいかにヒーローであり希望であるかが端的に示されていますdatenoba.exblog.jp。ドモンが写真の男(兄)との関連を探るため内心複雑な表情を浮かべる中、「夢?」「そう、夢!」**と繰り返される言葉が印象深く、本作のテーマの一つである“夢”のキーワードが強調された名シーンです。
  • 「ガンダムファイト、レディー…ゴーッ!!」:前述のストーカーによる試合開始コールのシーンです。静から動への振り幅が大きい語り部の演出に視聴者は度肝を抜かれました。特に「皆さんお待ちかね!」で始まる独特の前口上から一気にテンションMAXで放たれる**「レディーゴー!」**の絶叫は、一度聞けば耳に焼き付きますdatenoba.exblog.jp。この名調子は以降の各話でも使われ、第2話時点で早くもGガンダムの代名詞的セリフとなりました。視聴後につい真似したくなる名ゼリフとして、ファンの間でも語り草です。
  • チボデーの挑戦宣言「ヘイ!ジャパニーズ!」:国防総省の陰謀を共闘して退けた直後、チボデーがドモンに向けて放った一言です。**「ヘイ!ジャパニーズ!嫌な形になっちまったが、改めて俺の方からガンダムファイトを挑む!受けてくれるかぁ!」と、英語混じりの威勢のいい啖呵を切るチボデーdatenoba.exblog.jp。これにドモンが即座に「勿論!!」と力強く答える掛け合いも含め、互いの闘志がみなぎる最高に燃えるシーンでした。このときチボデーは自分を狙った将軍に対し「シャラップ(黙れ)!」**と怒鳴りつけてもおり、日本人主人公に「ジャパニーズ!」と呼びかけるあたりも含めて、彼のアメリカ人らしさ全開の台詞回しが痛快です。
  • ドモンの「ナイスガイ!」:エンディング直前、敗北を認めたチボデーに対してドモンが笑みを浮かべながら発したセリフですdatenoba.exblog.jp。普段クールなドモンがこのような軽口を叩くのは非常に珍しく、しかも片言の英語で称賛するというギャップに思わずクスッとさせられます。これにはチボデーも苦笑いでしたが、お互い爽やかな笑顔で拳を合わせそうな雰囲気さえ漂い、本話の爽快な締めくくりとなりました。後のライバルたちとの関係性を思えば、ドモンが直接「ナイスガイ!」と呼んだのはチボデーくらいかもしれません。それだけ彼に感じ入るものがあったのでしょう。ファンの間でも語り草の名場面であり、この言葉はチボデーの愛称のようにもなっています。
  • 観衆の声援と立ち直るチボデー:ドモンとの戦いで右腕を壊され倒れ込むチボデー。しかし彼を慕う人々は檻を乗り越えて戦場に駆け寄り、**「立ってよ!」「あなたは私たちの夢よ!」と涙ながらに激励しますdatenoba.exblog.jp。絶望していたチボデーが「み、皆…!!」と震える声で応えるシーンは感動的ですdatenoba.exblog.jp。ここで国際条約第3条「優勝への夢を持っていれば何度でも立ち上がれる」が引用される演出も胸アツでdatenoba.exblog.jp「またこの町からやり直せば良いんだ…何度でも夢を取り戻せば良いんだ!この拳でなぁ!!」**というチボデーの叫びには思わず拍手したくなりますdatenoba.exblog.jp。ヒーローが再起する王道の名シーンであり、作画も気合十分でチボデーの表情と拳がアップになるカットは鳥肌もの。仲間と観衆の想いを一身に受けて立ち上がる姿は、何度見ても胸が熱くなる名場面です。

6. 裏話・制作トリビア

● デザイン裏話:マックスターのモチーフ変遷
ガンダムマックスターのデザインには当初、実はカウボーイ(ガンマン)案が存在しました。メカニックデザインを手がけた大河原邦男氏によれば、最初は西部劇のガンマン風にデザインし、機体に拳銃を持たせる予定だったそうです。しかし企画会議の中で「アメフトからボクサーに変形するガンダム」というコンセプトが生まれ、結果として現在のようなアメフト+ボクサーの意匠に落ち着いたとのことja.wikipedia.org。胸のプロテクターやボクシンググローブ型の肩アーマー、そして残された2丁拳銃(ギガンティックマグナム)は、この試行錯誤の名残りです。総監督の今川泰宏氏も「おもちゃ感覚の強いデザインが好き」と語っておりja.wikipedia.org、マックスターは玩具的ギミック満載の遊び心あふれるガンダムとして誕生しました。放送当時に発売されたプラモデルでも、差し替えでボクサーモードへの変形を再現したり、シールドをサーフボードのように使用できるなど、プレイバリューの高さが話題となりました。

● 武闘アニメ路線の挑戦
本作はガンダムシリーズ初の格闘技トーナメントものとして企画されました。そのため従来のリアル志向とは一線を画し、演出や設定にも大胆な挑戦が見られます。例えば、今川監督は**「武器を本編で使いすぎるとストーリー上扱いに困るし、シャイニングフィンガーやゴッドフィンガーといった拳の必殺技を強調できなくなる」と考え、敢えて武器よりも肉弾戦を重視する方針を取ったと語っていますg-gundam.net。事実、第2話でもガンダムマックスターは拳銃を構えることなく最後までボクシングで押し通し、シャイニングガンダムもビームソードを抜刀したのは一瞬のみでした。このように「武器に頼らず拳で語る」演出は、本作ならではの熱さを生み出す原動力となっています。また、各国ガンダムのデザインは国民性を極端にデフォルメしたコミカルなものが多く、ネオアメリカのマックスターはその代表格です。ボクシング+アメフト+ガンマンという“アメリカらしさ”の詰め合わせは当時かなり衝撃的で、賛否両論を巻き起こしましたが、現在では「ぶっとんだデザインだけどカッコイイ」**と再評価する声も多く、Gガンダムの象徴的存在になっています。

● 時代背景と作品テーマ
第2話では荒廃した地球とスペースコロニーの対比、そして“夢”というテーマが色濃く描かれています。未来世紀(F.C.)の地球は環境破壊で荒れ果て、人類は宇宙に脱出しました。しかしコロニー間の勢力争いを避けるため導入されたのがガンダムファイトという代理戦争ですdatenoba.exblog.jp。その結果、地球上は4年に一度の大会のリングと化し、各国の代表ファイターたちは栄誉を懸けて戦っています。ネオアメリカは作中で世界屈指の超大国という設定ですが、それでも本土である地球は荒廃しきっておりdatenoba.exblog.jp、決して豊かではありません。これは1990年代当時の現実世界における環境問題への警鐘や、冷戦終結後の世界秩序を反映した風刺とも解釈できます。その中でチボデーが語る**「夢」とは、貧困から抜け出しコロニーで成功を収めるという希望そのものです。彼のバックボーンにはアメリカンドリームの精神が息づいており、ボビー少年のセリフdatenoba.exblog.jpにもあるように、「強ければ良い暮らしができ英雄になれる!」というシンプルかつ力強いメッセージが込められています。これは裏を返せば、力無き者は地球に取り残され冷遇されるという過酷な現実でもありますが、だからこそ人々はチボデーに自分達の夢を託したのでしょう。第2話サブタイトルの「夢を掴んだ必殺パンチ」は、チボデー自身が夢を掴んだ拳であり、ひいては皆の夢そのものを背負った拳という意味にも感じられます。その拳が腐敗した権力者(将軍)を撃ち砕く展開は痛烈で爽快であり、本作が単なる勧善懲悪ではなく「夢と信念の物語」**であることを強く印象付けました。

また、ネオアメリカの描写には1990年代のアメリカ文化へのオマージュが随所に見られます。例えばチボデーの決めゼリフ「アイルビーバック!」は映画『ターミネーター』シリーズの有名なフレーズであり、当時日本でも広く知られていました。さらに彼のキャラクター造形はボクシング世界王者やロックスターを彷彿とさせるヒーロー像で、常に女性達を侍らせているところなどはいかにもアメリカ的なショーマンです。一方で「拳で夢を掴んだ苦労人」という側面は日本の少年漫画的な王道路線でもあり、どこか**『あしたのジョー』の矢吹丈やロッキー・バルボア**を思わせます。こうした多面的なキャラクター造形がチボデー・クロケットという人物の魅力を深めており、以降もドモンの良きライバルとして成長していくことになります。

8. 筆者コメント(あとがき)

第2話「唸れ!夢を掴んだ必殺パンチ」は、序盤ながらGガンダムのエッセンスがこれでもかと詰め込まれた名エピソードだと感じます。子供の頃に初めて視聴した時は、ガンダムでボクシング!?と驚きつつも、ドモンとチボデーの熱すぎる殴り合いに画面にくぎ付けになりました。ヒーロー同士が誤解を乗り越えて共闘し、その後全力でぶつかり合って友情が芽生えるという展開は王道中の王道ですが、チボデーというキャラクターの爽快な人柄も相まって何度見ても胸が熱くなります。

改めて見直すと、演出や台詞の一つ一つに懐かしさが込み上げました。廃墟の街角で語るストーカーのシュールさ、ニューヨークの観衆の熱狂ぶり、そして**「ヘイ!ジャパニーズ!」にはじまるチボデー節の痛快さ…すべてが昭和・平成の熱血アニメ**の良いところ凝縮といった趣です。特に作画面ではシャイニングフィンガーや竜巻パンチの迫力が素晴らしく、当時のサンライズの本気が伝わってきます。Blu-rayの高画質で見ると新たな発見も多く、シャイニングガンダムの細かなマーキングやマックスターの質感表現にも感動しました。

また、チボデーのバックストーリーを知った今だからこそ、スラム街の人々にとって彼がどれだけ希望の星だったかに思いを馳せてしまいます。決勝リーグまで勝ち進んでいく彼の姿を全話視聴済みの我々は知っていますが、第2話時点では「この右腕と共に俺の夢も終わった…」と嘆くシーンにハラハラさせられました。しかし彼は再び立ち上がり、「何度でも夢を取り戻す」と宣言します。その言葉通り、彼はこの後も何度も立ち上がりドモン達と共闘してくれましたね。あのとき彼に声援を送った人々の思いは無駄ではなかった…そんな未来を知っているからこそ、第2話のラストは何度見ても清々しい気持ちになります。

筆者自身、チボデーはGガンダムの中でも大好きなキャラクターです。底抜けに明るく義理人情に厚い“ナイスガイ”な彼が、本話でドモンと拳を交えたことで生まれた絆は、以降の物語の大きな支えとなりました。今でも**「Gガンダムと言えばどの回?」**と聞かれると、この第2話を真っ先に挙げたいくらいお気に入りです。皆さんも是非もう一度、第2話の熱さと夢に溢れた戦いを観返してみてください。当時のワクワクが蘇ること間違いなしです!

9. 次回予告

**皆さんお待ちかね!**次回、第3話「倒せ!魔神のドラゴンガンダム」。舞台はネオチャイナへと移り、ドモンの前に新たな強敵が立ちはだかります。ドラゴンガンダムを操る幼き天才拳法家、サイ・サイシー登場! 盗賊集団・黒龍団に奪われ暴走する魔神ドラゴンガンダムを相手に、ドモンとサイ・サイシーの熱きバトルが繰り広げられる!果たしてドモンはドラゴンガンダムを倒し、次なる目的を達成できるのか? そしてサイ・サイシーの秘められた想いとは…?g-gundam.net次回も東方不敗の流派が轟く!Gガンダム、乞うご期待!READY… GO!

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