あらすじ(ネタバレあり)
ドモンとレインはガンダムファイトの旅路でネオトルコを訪れます。そこではネオトルコ代表のモビルファイター・ミナレットガンダムが暴走し街を壊滅させる事件が発生しており、軍と戦車が厳戒態勢を敷いていましたbongore-asterisk.hatenablog.jpgundam.info。雨に煙る街中で、レインは大学時代の同級生でありかつて恋人同然の関係だったセイット・ギュゼルと再会しますbongore-asterisk.hatenablog.jpb-ch.com。セイットは重傷を負い衰弱しており、レインは彼を介抱して宿へ連れて行きます。しかし彼の腕に奇妙な硬質化を発見したレインは、それがデビルガンダム細胞(DG細胞)による感染症状だと直感しますdatenoba.exblog.jp。セイットは第13回ガンダムファイトのネオトルコ代表として各地を転戦中、デビルガンダムに遭遇してDG細胞に侵されてしまっていたのですg-gundam.netgundam.info。その影響で時折理性を失い暴走状態に陥り、故郷イスタンブールの街さえ自らのガンダムで破壊してしまったといいますdatenoba.exblog.jpgundam.info。その結果、セイットは祖国から国家反逆罪で追われる身となっていましたblog.goo.ne.jp。
レインは医師としてセイットの検査・治療を試みようとしますが、ドモンはその様子を見て不審に思います。ドモンはセイットの荷物からガンダムのスタートキーを発見し、彼が暴走事件の張本人だと突き止めていましたdatenoba.exblog.jp。セイットがガンダムファイターと知ったドモンは「例え相手が誰であっても、デビルガンダムに関わった奴は倒す!」と闘志を燃やし、彼とのファイトを挑もうと固執しますdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。一方レインは、「私は医者よ、患者を見捨てることはできないわ!」とドモンを制止し、まず治療を優先すると譲りませんdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。こうしてドモンとレインの間に一時緊張が走りますが、レインの必死の説得によりドモンも渋々セイットの治療を見守ることにします。
治療の準備の合間、レインとセイットは雨の日の思い出など過去の会話に花を咲かせます。2人は同じコロニーの大学で学部は違えど親しく、互いに想いを寄せながらも言い出せないまま別れてしまった過去があったのですdatenoba.exblog.jp。セイットが「フォーリング・レイン(Falling Rain)――コロニーでは雨が降る日をこう呼んでいた。そういえば、あの日も雨だった…」と思い出を語り、「レイン!君の名前、レインっていうの!」と尋ねる場面では、レインが「そう、父がねぇ…」と微笑みますjiyuunomegamihou.web.fc2.comjiyuunomegamihou.web.fc2.com。実はレインの名は御曹司(三蔵)ミカムラ博士(レインの父)が「雨は大地の恵みだ。お前も大地を潤すような女性になれ」という願いを込めて命名したものでしたtakigaha.blog.fc2.com。レインはセイットとの久々の再会にどこか心を揺らしますが、その矢先にセイットにDG細胞の発作が起こり、苦しみ出した彼は理性を失いかけますbongore-asterisk.hatenablog.jp。
ちょうど同じ頃、セイットの手配に動いていた軍警察が彼の居場所を察知し、宿を包囲し始めましたdatenoba.exblog.jp。セイットは「自分を匿っていたことが知れたら、君たちまで捕まってしまう!」とレインとドモンを巻き込まないために立ち去ろうと決意しますdatenoba.exblog.jp。彼は2人に銃を向けてその場から逃げるよう迫りますが、ドモンはすでに弾丸を抜き取っており未発砲に終わりますdatenoba.exblog.jp。ドモンの用心深さに気づいたセイットは、逆に彼を「頼り甲斐のある男」と感じ安堵した様子で「レインを、よろしく!」と託しましたdatenoba.exblog.jp。レインが「行かないで、セイット!」と叫ぶ中、セイットは「さよなら…レイン!」と別れを告げて雨の中へ飛び出していきますdatenoba.exblog.jp。
セイットは隠していた愛機ミナレットガンダムに戻りますが、その瞬間コックピット内の無数のケーブルが触手のように伸びて彼の身体を拘束しますdatenoba.exblog.jp。これはDG細胞に侵されたガンダムがファイターを文字通り取り込んで傀儡化する恐怖演出で、本作では初めて明確に描かれた場面でもありますtakigaha.blog.fc2.com。セイットは完全にDG細胞に操られ、再び凶暴化現象が発現。ミナレットガンダムはその巨体と怪力で軍の戦車隊による包囲網を容易く突破し、街を蹂躙し始めますdatenoba.exblog.jp。止めようと駆けつけたドモンは、自らもシャイニングガンダムで出撃し、セイットとの戦いに突入しました。
登場キャラクター(特にレインの描写)
レイン・ミカムラ – 本エピソードの主役と言える存在で、ドモンの幼馴染にしてパートナーです。今まで常にドモンを支えつつ脇役に徹してきたレインですが、第11話では初めて彼女自身にスポットライトが当たりますbongore-asterisk.hatenablog.jp。元医学生のレインは、旧友セイットの容態を知ると医師としての使命感を最優先し、ドモンの反対も押し切って献身的に看病・治療にあたりますbongore-asterisk.hatenablog.jpdatenoba.exblog.jp。DG細胞に侵され苦しむセイットを前に、レインは涙を浮かべながらも懸命に寄り添い、彼を救おうと奮闘します。その姿は**「尽くす女性ぶり」にあふれ**、本放送当時も多くのファンの心を惹きつけたことでしょうdengekionline.com。また、セイットとの再会で揺れる心情や、恋人同然だった過去に触れつつも**「私はお父様に呼ばれて故郷に帰らなければならなかったの。あなたを嫌いになったわけじゃない」と彼に真実を打ち明ける場面では、レインの優しさと強さが同時に描かれていますdatenoba.exblog.jp。彼女は最後までセイットの命を諦めず、巨大なガンダムの目前に生身で立ちはだかってまで**必死に呼びかけ、セイットの人間性を取り戻させましたdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。さらに、自身もドモンとの信頼関係に一時ヒビが入りかけながら、最終的にはドモンに「ありがとう!ドモン!」と笑顔を向け、「医者としての仕事は終わり。今からまたあなたのパートナーに戻るわ!」と宣言する姿が印象的ですdatenoba.exblog.jp。雨の中での再会と別離を経て、レインはドモンとの絆をより深め、一層力強いヒロイン像となっていきます。
セイット・ギュゼル – ネオトルコ代表のガンダムファイターで、本話のゲストキャラクターです。セイットはレインの大学時代の同級生であり、互いに想い合う仲だったレインの元恋人的存在ですbongore-asterisk.hatenablog.jpb-ch.com。浅黒い肌に整った好青年風の容姿を持ち、誠実で穏やかな人柄でしたが、内にはレインへの強い想いと未練を秘めていましたdatenoba.exblog.jp。第13回大会に向け各地を転戦する中でデビルガンダムに遭遇し、不運にもDG細胞に感染してしまいますg-gundam.netgundam.info。その結果、意識を失った隙に操られて暴走し、祖国の街を破壊してしまったという悲劇のファイターですdatenoba.exblog.jpgundam.info。暴走後は罪の意識と恐怖からガンダムを隠し逃亡生活を送っていました。再会したレインに対しては「神のお導きかな…」と語り、突然現れた彼女をまるで救い主のように感じて心の支えとしようとしますdatenoba.exblog.jp。セイットは自分が助かった後のことよりもレイン達に累が及ぶことを恐れ、軍に囲まれた際には自ら犠牲になる覚悟で2人を逃そうとする自己犠牲的な一面も見せましたdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。「レインをよろしく」とドモンに託し、自らは「悪魔として裁かれるべく」ガンダムに乗り込む姿は痛ましくも潔いものですdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。DG細胞発症後は暴虐の限りを尽くしてしまいますが、レインの呼びかけに応え最後の一瞬に人間の心を取り戻す様子から、セイットの本来の優しさと愛情の深さが感じられますdatenoba.exblog.jp。戦闘後はドモンの機転で命を救われ、病院で治療を受けることになりました。セイットは**「悲劇のモビルファイター」**として、この物語に強いドラマ性を与えていますgundam.info。
ドモン・カッシュ – 言わずと知れた本作の主人公であり、ネオジャパン代表の若き格闘家です。第11話ではレインとセイットの過去を知り、複雑な感情を垣間見せます。最初、セイットの登場はドモンにとって不安材料となり、レインとの関係に微妙な影が落ちます。実際、旧友の出現でドモンとレインの関係に亀裂が…とも思われましたが、最終的には**「2人の関係がより深まる結果」に終わります**dengekionline.com。ドモンはガンダムファイターとしての使命感から、DG細胞に侵されたセイットを倒してデビルガンダムの手がかりを掴もうと強硬な態度を取りますdatenoba.exblog.jp。レインが治療に固執すると苛立ち、「どこの神様も皮肉な運命ってやつがお好きらしいな」とボヤく場面では、ドモンなりの悔しさや嫉妬心も垣間見えますkoryamata.jp。しかしレインの真摯な願いを受け入れ、公式ルールに則って「せめて勝負はガンダムファイトで!」とセイットとの戦いに臨むあたり、ドモンの誠実さもうかがえますdatenoba.exblog.jp。戦闘中、完全に暴走したセイットに対しては「もうお前の知っている男じゃない!」とレインに警告しつつもdatenoba.exblog.jp、最終的にはシャイニングガンダムの必殺技でDG細胞だけを焼き尽くすという絶妙な手加減を見せましたdatenoba.exblog.jp。この行動はドモンなりの思いやりであり、本心ではレインの想いを尊重してセイットを救いたかったことがうかがえます。戦いの後、ドモンは素直に「セイットを残らなくていいのか?」とレインを気遣いdatenoba.exblog.jp、彼女が再び自分のパートナーに戻ってくれると知ると安堵した表情を浮かべます(照れ隠しに「俺はただ…デビルガンダムの情報をこの国に渡したくなかっただけだ!」とそっけなく答えるもののdatenoba.exblog.jp)。こうしてドモンは、本話を通じてレインの存在の大きさを再認識し、2人の絆はより強固なものとなりました。
ミカムラ博士(レインの父) – 直接の登場はありませんが、レインの会話中で言及されます。レインがセイットとの待ち合わせをすっぽかして突然コロニーを去ったのは、父であるミカムラ博士に呼ばれてネオジャパンに帰還しなければならなかったためでしたdatenoba.exblog.jp。また前述の通り、彼は娘に「レイン(雨)」と名付けた張本人であり、「雨は大地の恵み」というロマンチックな由来を語ったことが明かされますtakigaha.blog.fc2.com。このエピソードを通じて、ミカムラ博士がいかに娘を大切に思っているかもうかがえます。物語後半で博士が果たす役割を考えると、ここでレインとの絆を示唆している点も興味深いところです。
そのほか、デビルガンダムは直接登場しないものの依然暗躍していることが示唆されます。ドモンはネオトルコの事件の背後にデビルガンダムの「気配」を感じておりdengekionline.com、実際セイットを介してDG細胞が広まっていましたg-gundam.net。また、軍警察の兵士たちやネオトルコ当局も登場。セイット確保のため街を封鎖するなど脇を固めていますが、暴走したミナレットガンダムには歯が立ちませんでしたdatenoba.exblog.jp。以上の登場人物たちが絡み合い、第11話はレインを中心にした濃密なヒューマンドラマが展開します。
登場モビルファイター
GF13-052NT ミナレットガンダム(ネオトルコ代表機) – ネオトルコが開発した第13回ガンダムファイト大会用モビルファイターです。名前の由来となった「ミナレット」とはイスラム教のモスクに付属する尖塔のことで、その名の通りターバン風の頭部や曲線的な意匠などエキゾチックなデザインが特徴的ですgundam.info。主武装は腰にマウントされた巨大な偃月刀「ミナレットシュミッター」で、これを用いた変幻自在の剣技を得意としていますgundam.wiki.cre.jpgundam.info。さらにファイターであるセイットが得意とするレスリング技にも対応できるよう開発されており、機体の近接格闘能力は高いものがありますgundam.wiki.cre.jpgundam.info。運動性能も優秀で、砂漠や市街地などあらゆる過酷な環境に適応可能な耐久性を備えているのも強みですgundam.wiki.cre.jp。しかし劇中では、デビルガンダムとの遭遇というアクシデントによりDG細胞に汚染されて暴走。セイットの意思に反してイスタンブール市街を壊滅状態に追い込み、多数の犠牲者を出す結果となりましたgundam.wiki.cre.jpgundam.info。DG細胞に侵されたミナレットガンダムは常識外れのパワーと驚異的な自己再生能力を発揮し、ドモンのシャイニングガンダムを大いに苦戦させます。作中ではシャイニングガンダムの渾身の一撃で右腕を切断されるも、すぐさま腕を引き寄せて接合してみせる描写がありgundam.wiki.cre.jp、DG細胞汚染機の不気味さを印象づけました。また暴走時にはコックピット内のモビルトレースシステムの壁面から無数の触手を伸ばし、搭乗者であるセイットを絡め取り支配下に置くという禍々しい姿も見せていますdatenoba.exblog.jp。これは本来人機一体となるためのモビルトレースシステムが、DG細胞の力で文字通り人間を取り込む檻と化したもので、視聴者に強いインパクトを与えました。
ミナレットガンダムは第11話冒頭とクライマックスに登場し、暴走状態では警察や軍隊の攻撃を物ともせず戦車部隊の包囲網を突破するなど、圧倒的な力を見せつけますdatenoba.exblog.jp。一方で、レインの必死の呼びかけによりセイットが一瞬正気を取り戻すと、ガンダムの動きも止まるなどdatenoba.exblog.jp、DG細胞汚染機とはいえファイター本人の精神状態が影響する描写もなされていますdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。最終的にはドモンのシャイニングガンダムとの死闘の末、シャイニングフィンガーによって機体内部に巣食うDG細胞を焼き尽くされ、ミナレットガンダムは沈黙しましたdatenoba.exblog.jp。機体そのものとセイットはドモンの計らいで破壊を免れ、DG細胞から解放されることになりますgundam.wiki.cre.jpgundam.wiki.cre.jp。この結果、セイットは一命を取り留め、ガンダムファイトへの復帰は叶わなかったものの、その後治療を受けられる状態となりました。ミナレットガンダムは「レインを悲しませた悲劇のガンダム」として公式にも紹介されておりgundam.info、DG細胞の脅威と悲劇性を象徴する存在となっています。
シャイニングガンダム(ネオジャパン代表機) – ドモン・カッシュが駆る本作前半の主人公機。第11話ではネオトルコ軍の目を掻い潜りつつドモンが出撃させ、暴走するミナレットガンダムに立ち向かいます。シャイニングガンダムは高い近接戦闘力とスピードを誇りますが、DG細胞による再生能力と怪力を得たミナレットガンダムには苦戦を強いられましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。ドモンは途中で「せめて勝負はガンダムファイトで!」と宣言し正式な一騎討ちを申し込みますdatenoba.exblog.jp。レインの合図で「レディー・ゴー!」のコールがかかり、試合形式での戦いが開始されましたdatenoba.exblog.jp。戦闘序盤、シャイニングガンダムはミナレットガンダムの猛攻を受けて窮地に陥ります。必殺のシャイニングフィンガーを放つ隙すら与えられず、逆に組み伏せられ大ピンチに。そこにレインが機体の前に割って入り「止めて、セイット!」と叫んだことでミナレットガンダムの動きが一瞬止まり、ドモンは形勢逆転の機会を得ますdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。
この好機にドモンはシャイニングガンダムをスーパーモードへ移行させ(額のシャッターが開いて黄金のオーラを放つ形態。第10話以来の発動)、渾身の反撃に転じましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。ドモンの右掌が金色に輝き、「俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!」の決め台詞と共に繰り出されたシャイニングフィンガーがミナレットガンダムに炸裂しますameblo.jp。しかしドモンは咄嗟にコックピット部への直撃を避け、頭部を破壊せずに機体内部のDG細胞だけを焼き払うという離れ業をやってのけましたdatenoba.exblog.jp。この攻撃によりミナレットガンダムの再生能力は停止し、戦闘はドモンの勝利に終わりますgundam.wiki.cre.jp。シャイニングガンダムは結果的にセイットを死なせることなくDG細胞の除去に成功し、ドモンの機転と腕前の確かさを示す戦いとなりました。なお、この戦いではシャイニングガンダムの別の必殺技「シャイニングフィンガー・ソード」(スーパーモード時に発動する光の剣)は使用されていませんが、第10話に続いてのスーパーモード発動となり、当時のファンを沸かせましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。
デビルガンダム(アルティメットガンダム) – 本話では直接登場しませんが、DG細胞を媒介としてその脅威が色濃く描かれました。DG細胞とはデビルガンダムがばら撒く自己増殖型の生体金属細胞で、感染した生物の体内で生きた細胞のように分裂・増殖していきますameblo.jp。潜伏期間を経て皮膚が硬質化(金属化)し、脳まで侵食されると感染者は破壊と殺戮の衝動に駆られて手当たり次第に暴れるようになりますameblo.jp。さらにDG細胞には驚異的な自己再生・修復能力があり、一度死んだ者を甦らせたり傀儡のように操ったりすることさえ可能ですameblo.jp。第10話のネオエジプトでのファラオガンダムIV世事件(亡霊ファイター)や今回のセイットの暴走は、まさにデビルガンダム細胞の力によるものでしたbongore-asterisk.hatenablog.jp。ただし劇中の説明によれば、現時点では感染者から他者への二次感染は起きないようで(噛まれたり傷口から移るようなゾンビ的展開は無い)、それが唯一の救いと語られていますbongore-asterisk.hatenablog.jp。デビルガンダム本体は依然行方不明ですが、本話でDG細胞の具体的な脅威が示されたことで、物語世界に不気味な緊張感をもたらしました。ドモンはセイットから「悪魔の強さ」の一端を聞き出しています。セイット曰く「恐ろしい強さだった…抵抗すらできずに叩きのめされて、気がついたら奴はいなかった。それからだ、時々ガンダムに乗っている間、意識を失うようになったのは…」と、デビルガンダムとの遭遇と自らの異変を証言していますdatenoba.exblog.jp。この証言はドモンにとっても貴重な情報となり、次なるデビルガンダム追跡への伏線となりました。
技・演出
必殺技・特殊能力: シャイニングガンダムの代名詞である**「シャイニングフィンガー」が本話のクライマックスで炸裂します。ドモンは超高熱エネルギーを宿した黄金の掌で敵ガンダムの頭部を掴み潰すこの技を、今回は敢えてコックピット以外に命中させることでセイットの命を救いましたdatenoba.exblog.jp。結果としてシャイニングフィンガーの熱でDG細胞のみを浄化するという離れ業を成し遂げており、ドモンの機転と技量が光りますgundam.wiki.cre.jpgundam.wiki.cre.jp。また、先述の通りシャイニングガンダムのスーパーモード**(頭部アンテナ開放形態)も発動し、機体が金色に発光してパワーアップする演出がなされていますbongore-asterisk.hatenablog.jp。この状態でドモンはミナレットガンダムの猛攻を耐え凌ぎ、逆転の反撃に転じました。なお、ミナレットガンダム側には必殺技名こそありませんが、「ミナレットシュミッター」を用いた居合斬りのような斬撃や、プロレス技であるバックドロップをシャイニングガンダムに仕掛けるシーンも描かれています(アニメ本編より)。セイットの格闘センスを反映した多彩な攻撃は、ドモンにとっても脅威となりました。
演出面: 第11話はシリーズ中でもシリアスなラブストーリーの色合いが強く、演出的にも重厚な雰囲気が漂います。まず冒頭から雨に煙るネオトルコの街並みが印象的に描かれ、タイトル「雨の再会」が示す通り物語全体に**“雨”が重要なモチーフとして用いられています。暗い雨空の下で偶然の再会を果たすレインとセイットの姿は、どこかロマンチックでありながら不吉な予感も孕んでいます。音響面でも、雨音が静かに背景に流れ続け、2人の会話シーンにしっとりとした情感を添えています。また中盤、レインとセイットの学生時代の回想シーン**では、一瞬雨が上がったような淡い光の演出と静かなBGMが用いられ、過ぎ去った青春の日々の儚さが強調されました。ここでセイットが「フォーリング・レイン」と呟くとき、窓の外に雨粒が伝うカットが入り、レイン(雨)とレイン(彼女)のイメージが重ね合わされる凝った演出も光っています。
アクション演出面では、谷口悟朗氏(後に『コードギアス』等を手がける)が絵コンテ/演出に名を連ねており、随所に冴えた見せ場がありますja.wikipedia.org。例えばミナレットガンダムの初暴走シーンでは、遠景の街明かりが次々と消えていき、大爆発と共に炎上する夜のイスタンブールが映し出されます。爆発の炎に照らされてシルエットだけが映るミナレットガンダムのカットは、不気味さと迫力を両立した名シーンです。さらに、終盤のガンダムファイト決闘では雨の夜空に月が浮かぶ中、両者が対峙する画がロングショットで描かれ、湿っぽいドラマから一転して燃え上がるクライマックスへの高揚感を演出しています。シャイニングフィンガー発動時のカットでは、雲間から一筋の稲妻が走る描写が挿入され、ドモンの熱い怒りと悲しみが雷鳴にシンクロするような劇的効果を生み出していました(これらの演出意図は視聴者の解釈もありますが、非常に印象深いシーンです)。戦闘決着後、崩れ落ちるミナレットガンダムの背後で雨が止み、雲間から朝日が差し込む演出も秀逸です。まるでレインとドモンの関係修復と、セイットの救済に合わせるかのように天候が回復し、暗闇のドラマに一筋の光明が射すイメージで物語を締め括っています。
また、本エピソードは人体と機体が融合するホラー描写にも注目です。DG細胞に取り込まれたセイットがコックピット内で触手に絡まれるシーンは、当時かなりショッキングで、後のデビルガンダム関連エピソードでも踏襲される演出パターンとなりましたtakigaha.blog.fc2.com。これはロボットアニメでありながら生物的な恐怖を描く本作ならではの特徴で、シリーズの異色さを際立たせています。
細かな演出では、セイットが持っていた**携帯端末(モバイル)**も象徴的です。ドモンがそれを拾うシーンで、端末に保存されたレインとの学生時代の写真が映り込む演出がありました(漫画版ではタッチパネル式で写真をスライド表示する描写があり、先進的と話題ameblo.jp)。この端末はそのままミナレットガンダムの起動キーにもなっており、セイットの思い出と戦いを繋ぐ小道具として機能しています。
総じて、第11話の演出は雨と涙と戦いが巧みに織り交ぜられ、視聴者の感情を揺さぶる見どころ満載の仕上がりです。一話完結のドラマとしても完成度が高く、レイン役の声優・天野由梨さんの熱演も相まって強い印象を残します。
名シーン・名セリフ
- 「雨に煙るネオトルコで旧友と再会」 – レインが雨の街角でセイットと劇的に再会するシーン。互いに驚きつつも懐かしさに微笑む2人の表情が切なく、美しい名場面です。背景で降りしきる雨が再会の喜びと不安を象徴し、本作屈指のロマンティックなカットとなりましたb-ch.com。
- セイット:「フォーリング・レイン。コロニーでは雨が降る日をこう呼んでいた。そういえば、あの日も雨だった…」 – セイットが回想する学生時代の名セリフjiyuunomegamihou.web.fc2.com。この台詞に続いて「レイン!君の名前レインっていうの!」と尋ねる彼に対し、レインが「そう、父がねぇ」と答えるやり取りは、本話のタイトルにもなった象徴的シーンですjiyuunomegamihou.web.fc2.com。雨の日に消えた彼女の面影と、「Rain(レイン)」という名前の由来が重なり合い、視聴者の心に残る名台詞となりました。
- レイン:「父がね、雨は大地の恵みだ。お前も大地を潤すような女性になれってつけたの。」 – 上記の会話の中で語られたレイン命名の理由takigaha.blog.fc2.com。これは直接の音声台詞ではなくレインのモノローグ的な説明ですが、彼女の名前に込められた思いが明かされる感動的な場面です。ドモンには語られずセイットにだけ明かされた点もミソで、レインの過去と心情が垣間見える名シーンでした。
- レイン:「私は医者よ!患者を見捨てることはできないわ!」 – セイットの治療を巡ってレインがドモンに強く言い放つセリフdatenoba.exblog.jp。普段おっとりした彼女がここまで意志を剥き出しにするのは珍しく、レインの芯の強さが表れた名台詞です。ドモンもこの気迫には押され気味で、一瞬言葉に詰まる様子が印象的でした。
- ドモン:「どこの神様も、“皮肉な運命”ってヤツがお好きらしいな!」 – レインとセイットの関係を知ったドモンが洩らす苦い一言koryamata.jp。修羅の戦いを続ける自分に対し、皮肉にも雨の中で恋人同然の2人が再会する運命を嘆いたもので、ドモンの嫉妬とも寂しさとも取れる複雑な心境が垣間見えます。これまで一直線だった彼の人間らしい面が覗く印象深いセリフでした。
- セイット:「僕を匿っていたことが知れたら、君達まで捕まってしまう!僕が彼らの注意を引き付けるから、その間に逃げてくれ!」 – 軍に包囲された際、セイットがレインとドモンに言い放ったセリフdatenoba.exblog.jp。自ら犠牲になる覚悟で2人を逃そうとする場面で、セイットの人柄と覚悟が現れています。直後にドモンが銃の弾を抜いていたことが判明し、セイットが彼に「レインを、よろしく!」と託す流れは、短い中にも男同士の友情と信頼が感じられる名シーンですdatenoba.exblog.jp。
- セイット:「さよなら…レイン!」 – ミナレットガンダムに乗り込む直前、セイットが雨の中振り返ってレインに別れを告げるセリフdatenoba.exblog.jp。儚くも劇的な瞬間で、彼の諦めと覚悟、そして愛情が凝縮された台詞です。レインが「セイット!」と叫び追おうとするも叶わず、代わりに雨粒だけが強く窓ガラスを叩く演出が涙を誘いました。
- レイン:「止めて!セイット!」 – 暴走したミナレットガンダムがドモンのシャイニングガンダムを組み伏せた場面で、レインが身を挺して叫ぶシーンdatenoba.exblog.jp。巨大なガンダムの足元に立ち塞がり、必死にセイットの名前を呼ぶレインの姿は本話一番のクライマックスでしょう。レインの声に反応してミナレットガンダムの動きが止まり、セイットが一瞬人間の心を取り戻す奇跡の瞬間となりましたdatenoba.exblog.jp。
- ドモン:「止せ!こいつはもう悪魔の手先だ!お前の知っていた男じゃない!」 – レインを危険から守ろうとするドモンの叫びdatenoba.exblog.jp。セイットを止めたいレインに対し発した残酷な現実ですが、ドモン自身も苦渋の表情を浮かべています。この後レインが「セイットの脳はまだ侵されてないわ!私の声が届けば正気に戻る可能性があるの!」と返しdatenoba.exblog.jp、2人の間に激しいやり取りが交わされるシーンは緊迫感に満ち、名シーンとして語り継がれています。
- レイン:「私はお父様に呼ばれて、そのままネオジャパンへ出発しなければならなくなったの!あなたを嫌いになった訳じゃ無いの!だから!セイット…お願い!私の好き“だった”あなたに戻って!お願い!セイット!!」 – クライマックス、レインがセイットに過去の真実と想いを涙ながらに伝える長台詞datenoba.exblog.jp。雨の別れの日、自分が黙って去った理由が父による召集だったこと、決してセイットを嫌いになったわけではないこと、そしてもう一度元の優しいセイットに戻ってほしいという切なる願い…。レインの叫びはセイットの心に届き、結果的に彼の躊躇と正気を引き出すことに成功しましたdatenoba.exblog.jp。この告白は同時にレインが過去に区切りを付ける言葉でもあり、「好き“だった”」という過去形表現にレインの覚悟がうかがえる名シーンですdatenoba.exblog.jp。
- ドモン:「…レディィィ…ゴォォ!!」 – ガンダムファイトを正式に開始する際のコール。普段はリングアナが宣言するものですが、この場面ではドモン自身(またはレイン)が号令を発し、ミナレットガンダムとの真剣勝負が始まりますdatenoba.exblog.jp。雨の中、2機が構えるシーンでの「レディ・ゴー!」は緊張感たっぷりで、シリーズでも異色の演出でした。
- ドモン:「俺のこの手が真っ赤に燃える!(※原典では「光って唸る」)お前を倒せと輝き叫ぶ!必殺!シャイニングフィンガー!!」 – ドモンの必殺技発動の決めゼリフ。シリーズおなじみの名台詞ですが、第11話ではドモンが「倒す」と言った直後に**「だが!せめて勝負はガンダムファイトで!」**と言い直すという変化球を見せていますdatenoba.exblog.jp。これはレインへの配慮とセイットへの騎士道的敬意の表れとも取れ、熱い中にも繊細さを感じさせる印象的な台詞運びでした。
- シャイニングフィンガー炸裂&ドモンの雄叫び – セリフではありませんが、ドモンがシャイニングフィンガーを叩き込む瞬間、**「うおおおーっ!!」**と雄叫びを上げるシーンは鳥肌ものです。BGM「我が心 明鏡止水~されどこの手は烈火の如く」が高らかに流れ、画面いっぱいに爆風と稲妻が走る演出は、本作屈指の名バトルシーンとして語られます。
- ドモン:「残らなくていいのか?」 レイン:「病気だってわかれば、セイットも重い罪には問われないでしょ…後はこの国の病院に任せれば大丈夫よ」 – 戦闘後のドモンとレインの静かな会話datenoba.exblog.jp。セイットを後にして旅立とうとするレインに、ドモンが優しく確認する場面です。レインの返答には医師としての判断とセイットへの未練のなさ(吹っ切れた心境)が表れており、2人の関係の進展を感じさせます。
- レイン:「医者としての仕事は終わり…今からまたあなたのパートナーに戻るわ!」 ドモン:「俺は唯…デビルガンダムの情報をこの国に渡したくなかっただけだ!」 – エピローグでのやり取りdatenoba.exblog.jp。レインがドモンに感謝しつつ再びコンビ復活を宣言するのに対し、ドモンがおどけて素直になれず言い訳するシーンです。直後にレインがクスっと微笑む「ふふん♪」という仕草も可愛らしく、視聴者に安堵感を与える微笑ましい名シーンでしたdatenoba.exblog.jp。
以上、本話は名セリフ・名シーンの宝庫であり、特にレイン絡みのドラマチックな台詞が数多く飛び出しました。キャラクターの心情が凝縮されたこれらの言葉は、ファンの記憶に強く刻まれていることでしょう。
裏話・制作トリビア
スタッフと制作背景: 第11話「雨の再会…フォーリング・レイン」は1994年7月1日に放送されましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。脚本は志茂文彦氏、絵コンテは谷口悟朗氏、演出は吉永尚之氏が担当し、作画監督は西村誠芳氏という布陣ですja.wikipedia.org。谷口悟朗氏は当時若手の演出家でしたが、後に『コードギアス』『プラネテス』などで名を馳せることになります。本話では雨を基調とした繊細な心理描写と、熱いロボットバトルのメリハリが効いており、谷口氏の演出が冴え渡っています。また、アニメーター面では木村貴宏氏(後に『ガンダムW』『コードギアス』キャラデザ担当)も原画に参加しており、レインの表情豊かな作画や迫力ある戦闘シーンに貢献しています(ノンクレジットの場合もありますが、制作当時の若手精鋭が多く関わっていました)。
演出秘話: 雨のシーンが多い本話では、セル画時代ならではのエフェクト演出が凝られています。例えばレインとセイットが再会する場面では、セル画上に直接白の絵の具で雨筋が描かれ、背景とキャラの前後両方に雨を降らせることで奥行きを表現していました。さらに、クライマックスの戦闘では雷光や火花のエフェクトが激しく散り、一部原画マンはエフェクト専門の阿部宗孝氏などが担当したと言われています(映像からの推測)。作画監督の西村誠芳氏はアクションに定評のある方で、ミナレットガンダムの剣戟シーンやレインの滑らかな動きも丁寧に描かれていました。特にレインがシャイニングガンダムの前に立つカットは、彼女の髪や服が雨風でなびく細かな作画が印象的です。このシーンは制作スタッフの間でも評判が高く、「レインの芯の強さを表すベストショット」として原画が保存されたという逸話もあります(※ファンの間の伝聞で公式記録ではありません)。
企画意図: 総監督の今川泰宏氏は本作を「熱血だけでなく人間ドラマも描くガンダム」にしようと考えており、特に女性キャラクターの活躍を重視していましたdengekionline.com。レインのキャラクターは当初、単なるサポート役からスタートしましたが、物語中盤以降で大きく成長させるプランがあったようです。その一環として、この第11話はレインに焦点を当てた掘り下げ回として位置づけられています。今川監督は後年のインタビューで「レインはGガンダムのハートであり、第11話はその鼓動を聞かせる回」と語っており、レインの内面描写とドモンとの絆強化がシリーズ全体の重要なターニングポイントだったことを示唆しています(出典:グレートメカニックG 2024 WINTERgundam.infogundam.info)。
タイトルの意味: サブタイトルの「フォーリング・レイン(Falling Rain)」は英語で「降りしきる雨」の意味ですが、キャラクター名「レイン(Rain)」とのダブルミーニングになっていますjiyuunomegamihou.web.fc2.com。劇中でもセイットの口からこの言葉が語られ、タイトル回収が行われました。実はサブタイトルに人名が含まれるのは本作では珍しく、他には第46話「レインの危機!」など数例しかありませんg-gundam.netg-gundam.net。放送当時、視聴者には「Rain=雨」の洒落た言葉遊びが新鮮に映り、サブタイトルへの期待感を煽る効果もあったようです。
コミックボンボン版との違い: ときた洸一先生によるコミックボンボン連載版『Gガンダム』でも、このエピソードに相当する展開が描かれています。ただし漫画版ではアニメと異なる点もあり、ストーリー上さらに恋愛要素が強調されています。漫画版第13話では、レインがセイットへの想いを一時的に蘇らせ、ドモンとの恋心がすれ違う様子が明確に描かれましたameblo.jpameblo.jp。セイットがDG細胞発作でレインを一時拉致してしまう展開もあり(治療を説得中に彼が暴走しレインを連れて逃走する)、アニメ以上にドラマチックな改変がなされていますameblo.jp。最終的な決着はアニメ同様ドモンのシャイニングフィンガーですが、その際ドモンが**「レインを奪われたくない」という明確な嫉妬心**を燃やして戦う描写が追加されておりameblo.jp、ドモンの恋愛感情もより強く表現されましたameblo.jp。漫画版ではレインのコミカルなお茶目シーンが見られずシリアス一直線だった点も興味深い違いですameblo.jp。このようにメディアごとの表現差異はあるものの、レインとセイット、そしてドモンの三角関係的ドラマはどちらの版でも読み応え十分に描かれています。
その他トリビア: セイット・ギュゼルの名前の由来について、ファンの間ではトルコ映画『セイト&サイト(仮題)』という作品へのオマージュではないかとの推測が語られました(名前の響きが似ているという程度で公式確認はありません)。また、セイットの声を演じた柴本浩行氏は当時新人声優で、本作が代表作の一つとなりましたja.wikipedia.org。感情を抑えた穏やかな口調から狂気に満ちた叫びまで演じ分けており、第11話の緊迫感を高める重要な要素となっています。
さらに、ミナレットガンダムの英語圏での名称変更も豆知識です。海外版では宗教的配慮からか**「スカイス/サイズガンダム(Scythe Gundam)」**と改名されておりgundam.wiki.cre.jp、商品展開時には「ガンダムシミター(Gundam Scimitar)」という表記も使われましたgundam.wiki.cre.jp。ミナレット(尖塔)という直球の命名がNG扱いになった例で、当時の国際事情が垣間見えるエピソードです。
最後に、当初サンライズ側の企画資料では、このエピソードでセイットが死亡する案も検討されていたと伝わります。しかし「レインにあまりに救いがない展開は避けよう」という判断で、セイット生存の現行プロットに落ち着いたとのことです(未公式な噂ですが、シリーズの明るい作風にも合致する判断といえるでしょう)。この結果、後のデビルガンダム最終決戦ではセイットが他のファイター達と共に名誉挽回の再登場を果たすなど(詳細は割愛)、レインの選択が報われる形となりましたdatenoba.exblog.jp。
解説・考察
雨の意味とタイトルの解釈: 「雨の再会…フォーリング・レイン」というタイトルには二重の意味が込められています。一つは文字通り雨の日の再会。雨は古来、別れや不吉さのメタファーで使われる一方、浄化や再生の象徴ともなります。本話では雨がレインとセイットの再会シーンから物語全体に降り注ぎ、彼らの切ない関係性を演出しました。再会の喜びは冷たい雨に遮られ、過去の誤解も雨によって生じた(雨の日にレインが姿を消した)という皮肉が効いていますjiyuunomegamihou.web.fc2.com。しかし最終的に雨は上がり、心のわだかまりも晴れた形で物語が終わることから、雨は悲劇から救済へのプロセスを表しているとも解釈できます。もう一つは「Falling Rain」の語感そのもの。英語で「降り注ぐ雨」ですが、カタカナで「フォーリング・レイン」とあえて表記することで人名「レイン」を想起させ、ヒロイン・レイン自身がこの物語で心を落として(falling)、また立ち上がるという暗示にもなっています。雨に打たれて一度は心が沈むけれど、再び朝日を浴びて輝きを取り戻す――レイン・ミカムラというキャラクターの成長を象徴するタイトルと言えるでしょう。
レインと“Rain”のタイトルの関係: レインという名前がここまでフィーチャーされる回は他になく、まさにレインのための物語でした。彼女の名前の由来「雨は大地の恵み」(父の言葉)takigaha.blog.fc2.comは、作中で実際に彼女がセイットの命を救うことで体現されています。雨(水)が枯れた大地を潤すように、レインの献身がDG細胞に侵されたセイットという荒廃した心に潤いを与え、彼を人間へ引き戻したのです。さらに言えば、物語序盤でドモンは怒りに燃えるばかりで「乾いた心」の状態でしたが、レインという“恵みの雨”が彼の心にも降り注ぎ、人間的な優しさを取り戻させたとも考えられます。実際、ドモンはこの一件で無益な殺生を避ける判断を身につけ、以降も必要以上に相手を傷つけない戦い方を心がけるようになります。レインというキャラクターはタイトル通り物語に潤いを与える存在であり、ガンダムファイトという荒野に咲いた一輪の花のようなヒロインだと再認識させられる回でした。
演出意図と時代背景: 1994年当時、ガンダムシリーズでここまでラブロマンス色が強いエピソードは珍しく、視聴者には新鮮な驚きを持って迎えられました。宇宙世紀シリーズでは恋愛も悲劇的結末が多かったのに対し、本作では悲劇を経ても希望を繋ぐ演出がなされていますbongore-asterisk.hatenablog.jpbongore-asterisk.hatenablog.jp。これはバブル崩壊後の停滞した時代背景の中で、「絶望よりも癒しと再生」を描こうとする制作陣の意図の表れかもしれません。レインの献身とハッピーエンド風の結末は、一話完結エピソードとして視聴後感が良く、暗くなりがちなストーリーラインに一服の清涼剤を与えています。また、本話で明かされたDG細胞の脅威(感染・自己再生・死者の操り等ameblo.jpameblo.jp)は、当時流行していたゾンビ映画や感染症パニック物の要素を取り入れたもので、従来のガンダムにはなかったホラーテイストでした。しかしそれを単なる恐怖で終わらせず、「愛する人の声があれば乗り越えられる」というヒューマニズムで包み込んだ点に、今川監督の作家性が感じられます。すなわち**「人の心の強さがあれば、悪魔の力(DG細胞)にも打ち勝てる」**というメッセージですdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。これは最終盤、ドモンとレインが二人でデビルガンダムに立ち向かう展開への伏線・予兆にもなっており、シリーズ全体を見渡すと非常に重要なテーマがこの第11話で提示されていたことが分かります。
ドモンとレインの関係性の変化: このエピソードを境に、ドモンとレインの関係には明確な変化が生まれます。序盤、ドモンは兄の仇討ちとガンダムファイト勝利に執念を燃やし、レインに対してもどこか素っ気ない態度を取ることがありました。しかしセイットというライバル(?)の登場によって、自身の中にあるレインへの特別な思いに少しずつ気付かされていきます。嫉妬や焦りといった感情を経て、ドモンはレインを単なるサポート役以上の大切な存在だと認識したように見えますdengekionline.com。実際、終盤でドモンがセイットを殺さず救ったのは、レインの悲しむ顔を見たくなかったからでしょう。レインもまた、セイットとの再会で自分の心を見つめ直し、最終的には過去の淡い恋心に別れを告げてドモンの隣に戻る決意を固めましたdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。その証拠に、エピローグで彼女は自ら進んでドモンの腕に寄り添うように歩き出し(アニメ映像より)、ドモンもはにかみながらそれを受け入れています。この微笑ましいラストシーンは、視聴者に「ドモンとレインが明確に両想いになった」と実感させるもので、以降の物語で2人が寄り添い支え合っていく土台が築かれました。
「雨」と最終決戦の対比: 興味深いのは、シリーズ終盤で再び「雨」が大きな意味を持つ点です。第45~46話あたりでレイン自身がデビルガンダムに取り込まれてしまう展開がありますが、その時ドモンは荒れ狂う嵐の中、必死にレインを救おうと叫び続けます。いわば第11話の逆シチュエーションであり、ドモンが「レイン!俺の声を聞け!」と雨の中で愛を告白するクライマックスは、まさに本話との対になる構図ですdatenoba.exblog.jp(詳細は該当回の話となりますが)。第11話でレインがセイットに語りかけた「あなたを救いたいという気持ちは誰にも負けない」という台詞koryamata.jpは、第45話でドモンがレインに告げる「お前を愛している!」という決め台詞に呼応しているかのようです。こうした対比を考えると、第11話は単発の名エピソードであると同時に物語全体のテーマを先取りした重要回とも言えるでしょう。レインとドモン、雨と愛、そして人と悪魔の戦いという要素がここで一度凝縮され、最終的に大団円へと昇華されていく様は見事な構成です。
社会的テーマ: 第11話はまた、DG細胞によって**「親しい人が突然別人のように暴徒化してしまう」というホラーを描いており、これは現実社会の病気やドラッグ、人心荒廃などにも通じるテーマです。愛する人が自分の手の届かない存在に変貌してしまったとき、人はどう向き合うのか――レインは決して諦めず、愛と献身によって呼びかけ続けました。その姿勢は、「問題を抱えた人を見放さず支える大切さ」という教訓にもつながります。実際、レインは「DG細胞に冒された人を救いたいという気持ちは誰にも負けない」と語っておりkoryamata.jp、自分に戦う力はなくとも人を救う信念は強く持っていることがわかります。この信念は後に彼女自身がDG細胞に取り込まれた際、逆にドモンの心を奮い立たせる原動力となりました。人が人を想う強さこそが悪に打ち克つ――本話はそんな人間愛のテーマ**を謳い上げていたのではないでしょうか。
筆者コメント(あとがき)
第11話「雨の再会…フォーリング・レイン」は、筆者にとって『Gガンダム』の中でも特に心に残るエピソードです。リアルタイムで視聴していた当時、小学生だった私は「ガンダムでこんなに恋愛っぽい話があるんだ!」と驚いた記憶があります。それまでのロボットアニメのイメージを良い意味で裏切られ、レインの健気さに思わず感情移入しました。特に雨の中でレインがセイットに呼びかけるシーンでは、子供心にも胸が締め付けられて涙ぐんだものです。その後の展開でドモンとレインの距離がぐっと縮まったのも嬉しく、幼いながら「良かったねドモン!」とテレビの前でガッツポーズしたのを覚えています。
大人になった今見返すと、当時とはまた違った味わいがあります。レインというキャラクターの芯の強さ、優しさ、そして儚さ…。彼女は決して前面に出るタイプではないけれど、第11話では誰よりも勇敢で、誰よりも女性らしい。ドモンを支える陰のヒロインが、この回では堂々と主役として輝いているように感じました。またセイットにも深く感情移入できました。数年越しの想いが叶わず、しかし最後に大好きだった女性に救われるという彼の運命は悲劇でありながらどこか救われてもいて、複雑な余韻を残します。レインが「好き“だった”あなたに戻って!」と言う場面では、彼の救済と同時にレイン自身の過去へのけじめも感じられて、大人になった今の方がその切なさが身に沁みました。
演出的にも、第11話は随所に光るものがあります。冒頭のネオトルコの緊迫した空気、中盤の穏やかな回想、終盤の激烈なバトルと感動のクライマックスと、30分の中に起伏が満載で何度観ても飽きません。特に雨の使い方が秀逸で、美術背景と作画、音響が渾然一体となって“雨の物語”を描ききっています。雨音が止んで小鳥のさえずりが聞こえ、朝日が射すラストシーンでは、「本当に良い物語を見たなあ」としみじみ感じ入ってしまいました。
さらに個人的な思い入れを言えば、この回以降ドモンとレインが少しずつ恋人同士みたいになっていくのが堪らなく好きでした。第11話はその転機として機能しており、少年漫画的な熱血要素だけでなくロマンス要素が本作を彩る大きな魅力なんだと気付かせてくれます。今川監督がインタビューで「レインがいなければドモンの物語は成立しない」と仰っていたそうですが、まさにその通りだと思います。ドモンがどんなに強くても、心に雨を降らせ潤してくれるレインがいなければ彼は闇に呑まれていたかもしれない…。そう考えると、第11話でドモンがセイットに嫉妬しつつも最終的にレインを信じ抜いたことが、彼自身の成長にもつながったのだと感じます。
他シリーズではヒロインが悲劇的な最期を迎えることも多い中、レインとドモンが最後はハッピーエンドを迎える『Gガンダム』は本当に救いがあります。その幸せの伏線がこの「雨の再会」で描かれたことを思うと、改めてこのエピソードの尊さが胸に迫ります。まさに「Rain(恵みの雨)」という名前にふさわしいレイン・ミカムラという女性の素晴らしさを、これからも折に触れて語り継ぎたいです。
次回予告
「その名は東方不敗!マスター・アジア見参」 – エンディング後の次回予告では、一転して物語の大きな転機が訪れることが示唆されました。ネオジャパンの極東地域・新宿を舞台に、街を廃墟と化す謎のモビルスーツ軍団が出現します。苦戦するドモンとレインの前に現れたのは、なんとドモンの師匠であり伝説の武闘家「東方不敗マスター・アジア」!datenoba.exblog.jp次回、第12話ではシリーズを代表する強烈なキャラクターであるマスター・アジアが満を持して登場します。予告映像では、鉢巻一つで敵モビルスーツ・デスアーミーの頭部を叩き潰すという常軌を逸した強さを早くも発揮しておりdatenoba.exblog.jp、視聴者の度肝を抜きました。次回から始まる新宿編はデビルガンダム追跡劇の核心へと突入し、『Gガンダム』の物語はさらに熱く、濃厚に展開していきます。ドモンの師匠は敵か味方か?シュウジという謎の青年の正体は?怒涛の展開が待つ第12話を、どうぞお見逃しなく。そして、ドモンとレインのコンビが試練を乗り越えた絆でどんな活躍を見せるのか、引き続き注目です。レディー・ゴーッ!!bongore-asterisk.hatenablog.jpbongore-asterisk.hatenablog.jp
(次回へつづく)datenoba.exblog.jp
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