『機動武闘伝Gガンダム』第13話「大ピンチ!敵は5大ガンダム」考察

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1. あらすじ(ネタバレあり)

ドモン・カッシュと師匠マスター・アジアは、新宿でデビルガンダム配下のデスアーミー軍団と死闘を繰り広げていた。ある日、東京タワーから謎のSOS信号(ピアノの旋律)が発せられたと知り、2人は生存者救出のため現地へと急行することになるbongore-asterisk.hatenablog.jp。途中でマスターが「どちらが先に着くか競争だ」と提案し、2人はそれぞれ愛機を離れ生身で東京タワーへ向かうことに。ドモンは愛機シャイニングガンダムをレインに預けて単身で廃墟の地下鉄跡を進むが、その途中でなんとかつてのライバル4人(チボデー・クロケット、サイ・サイシー、ジョルジュ・ド・サンド、アルゴ・ガルスキー)に次々と襲撃されてしまうg-gundam.net。彼ら4人はデビルガンダムのDG細胞に侵食され操られており、人が変わったようにドモンへ襲いかかってきたのであるg-gundam.netg-gundam.net。地下鉄車内ではチボデーと格闘戦になり、ドモンは辛くも退けるも、今度はサイ・サイシーが地下鉄のダイヤを操作して暴走する列車で挟み撃ちにしようとするbongore-asterisk.hatenablog.jp。さらに転車台跡ではアルゴが待ち構え、怪力で電車を丸ごと投げつけるという荒技でドモンを追い詰めたbongore-asterisk.hatenablog.jp。幾重もの罠を突破し東京タワー地下の放送室に辿り着いたドモンを待っていたのは、ピアノを奏でていたジョルジュだった。しかし彼もまた目に光を失い狂暴化した様子でドモンを攻撃し、ついに**“5大ガンダム”**が勢揃いしてドモンに襲いかかるbongore-asterisk.hatenablog.jp

一方その頃、残されたレイン・ミカムラはシャイニングガンダムを守るためデスアーミーの大群と交戦状態にあった。オート操縦だけでは限界があると判断した彼女は、「女だからって、負けないわよ!」と自身でモビルトレースシステムを起動し、戦闘スーツに身を包んでシャイニングガンダムを操縦blog.goo.ne.jp。苦しみながらも次々と敵機を撃破し、ドモンのもとへシャイニングガンダムを駆って向かう。合流したドモンはレインと共にコクピットに乗り込み、操られた4機と正体不明の黒いガンダムに立ち向かった。黒いガンダム(後のマスターガンダム)はドモンの必殺技シャイニングフィンガーを上回る悪魔的な威力のダークネスフィンガーを繰り出し、シャイニングガンダムを圧倒するblog.goo.ne.jp。絶体絶命のドモンだったが、ここでレインと心を一つにし、「俺のこの手が光って唸る!お前を倒せと輝き叫ぶ!!必殺!!シャイニングフィンガー!!!」と渾身の名乗りとともに合体シャイニングフィンガーを炸裂させるblog.goo.ne.jp。2人の絆の力で放たれた一撃は凄まじく、黒いガンダムと4機の敵ガンダムをまとめて吹き飛ばし退けることに成功したja.wikipedia.org。しかし黒いガンダムはその場から忽然と姿を消し、チボデーら4人も依然としてDG細胞の支配下に囚われたまま…事件の謎は深まるばかりとなった。

2. 登場キャラクター(再登場キャラの変化)

ドモン・カッシュ – 本話では主人公ドモンがこれまで戦ってきたライバル4人全員を相手にするという、シリーズ前半のクライマックスともいえる窮地に立たされます。ドモンは突然敵に回った彼らに戸惑いながらも、「お前たちがキョウジの手先になってしまったのなら、俺は負けるわけにはいかない!キング・オブ・ハートの名に懸けても!」と<strong>覚悟</strong>を決めて闘いますbongore-asterisk.hatenablog.jp。各国代表ファイターと拳を交えた経験や師匠マスター・アジアの教えにより成長したドモンは、苦戦しつつも諦めず、最後はレインとの合体攻撃で活路を開きました。その姿は「逆境を乗り越え得る力と縁に恵まれた漢(おとこ)」として描かれ、後に**「星一つ救う」**ほどの大きな力へと繋がっていく伏線にもなっていますdatenoba.exblog.jp

レイン・ミカムラ – ドモンの幼馴染でメカニック担当のレインが、本話では大活躍を見せます。序盤からドモン達を献身的にサポートしていた彼女ですが、ついに自らモビルファイターを操縦し前線に立つことにblog.goo.ne.jp。デスアーミーの猛攻に囲まれながら「女だからって、負けないわよ!」という気合の台詞と共に戦闘スーツを着込み、シャイニングガンダムを自在に操る姿には視聴者も驚かされましたblog.goo.ne.jp。普段は冷静沈着なレインが見せたこの芯の強さと身体能力の高さは本話の大きな見どころです。ドモンには及ばないまでも戦地で一歩も引かない奮闘ぶりは「お見事」という他なく、苦戦するドモンを救う重要な役割を果たしましたdatenoba.exblog.jp。レイン自身、この経験を経てより戦いへの覚悟を固めていき、物語後半では正式にモビルファイター(ライジングガンダム)のパイロットも務めることになります(第13話と第21話のみの搭乗)ja.wikipedia.org

チボデー・クロケット – ネオアメリカ代表。熱血漢で派手好きなプロボクサーだったチボデーは、第2話でドモンと対戦して以降、陽気で憎めないライバルとして描かれてきました。しかし本話ではDG細胞に侵されてしまい、<strong>瞳の光を失ったような表情</strong>でドモンを奇襲しますblog.goo.ne.jp。地下鉄の車内に現れるというアメリカ的な奇襲スタイルも相まって、いつもの豪快さやユーモアは影を潜め、無言で容赦なくドモンに拳を振るう姿はまさに別人のようですg-gundam.net。かつて「夢を掴んだ必殺パンチ」を誇った彼が操られてしまった光景はファンに強い衝撃を与えました。彼の付き人である4人のチアガール「チボデーギャルズ」もまたDG細胞に感染し囚われの身となっており、チボデーは自我を奪われたままデビルガンダムの尖兵と化してしまいます。

サイ・サイシー – ネオチャイナ代表。16歳の少林寺拳法使いで、天真爛漫なお調子者だったサイ・サイシーもまた再登場時には冷酷な殺人マシーンと化しています。第3話での初対決時には祖父の仇討ちというドラマも背負い、コミカルかつ生意気な少年として描かれていましたが、本話では笑顔も台詞もなく、ドモン抹殺のために地下鉄を暴走させるという知略的な罠を仕掛けましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。操られてなお持ち前の機転が発揮された形ですが、その純粋だった瞳には狂気が宿り、仲間思いで友情に厚かった本来の姿は見る影もありません。サイ・サイシーの師匠代わりであった2人の僧(慧雲・瑞山)もDG細胞の犠牲となり捕らわれておりbongore-asterisk.hatenablog.jp、彼もまたデビルガンダムの悪意によって心を奪われた犠牲者として立ちはだかります。

ジョルジュ・ド・サンド – ネオフランス代表。エリート貴公子であるジョルジュは、第4話での決闘以来ドモンと相互に認め合う騎士道精神の持ち主でした。しかし本話では、東京タワー地下から流れるピアノの旋律でドモン達を誘き寄せるという謎めいた登場を果たしますbongore-asterisk.hatenablog.jp。雅やかなピアノ演奏はジョルジュの気品にマッチした演出ではありますが、それもデビルガンダムの策略の一部でした。再登場した彼は物静かな微笑を湛えつつもドモンに剣を向け、その瞳は冷酷さに染まっています。優雅で礼節を重んじた彼が、主君レイモンドや婚約者マリアルイゼら支援者ごとDG細胞に冒され操られていたのはbongore-asterisk.hatenablog.jp、多くのファンにとって衝撃でした。ドモンも「どうしてジョルジュまで…!」と動揺を隠せず、仲間と思い始めていた彼らとの戦いに心を痛めます。

アルゴ・ガルスキー – ネオロシア代表。寡黙で豪胆な元宇宙海賊のアルゴは、第5話で和解して以来ドモンたちにとって頼れる兄貴分的存在でした。そのアルゴもまたDG細胞に侵食され、無口なまま怪力を振るう暴走状態になっています。地下鉄の転車台跡では、待ち構えていたアルゴがなんと車両を丸ごと持ち上げて投げつける離れ業でドモンを攻撃しましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。もともとシリーズ随一のパワーファイターだった彼ですが、DG細胞によって人間離れした怪力を得た描写は圧巻ですbongore-asterisk.hatenablog.jp。冷静沈着で義理堅かったアルゴが操られ、無言でドモンを抹殺しようとする様子には哀しさすら漂います。彼の監視役であった連邦委員ナスターシャもDG細胞に感染し囚われておりbongore-asterisk.hatenablog.jp、アルゴもまた自我を失ってデビルガンダムの傀儡として利用されてしまいました。

マスター・アジア(東方不敗) – 前話(第12話)で鮮烈な登場を果たし、ドモンの新たな師匠兼協力者となった伝説の格闘家。しかし本話では随所で不可解な行動や言動が目立ち始めますbongore-asterisk.hatenablog.jp。生身で敵MFを翻弄し楽しそうに戦う姿や、「敵の数も分からない状況で2人だけで救出に向かう」と強引に提案する様子など、どこか裏があるように感じられる描写が散見されましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。実際、マスター・アジアは道中ドモンと別行動になった後、黒いガンダム=マスターガンダムに搭乗し、密かに操られた4人を指揮してドモンを追い詰めていますbongore-asterisk.hatenablog.jp。ドモンは当初まったく師匠を疑っていませんが、視聴者目線ではこの時点で「ん?もしや…」と不信感を抱いた方も多かったでしょう。東方不敗の異名を持つ彼の真意は次話で明かされることになりますが、本話は物語の転換点として師匠の裏の顔を示唆する巧みな伏線となっていますbongore-asterisk.hatenablog.jp

3. 登場モビルファイター(5大ガンダムとシャイニングガンダム)

シャイニングガンダム(ネオジャパン) – ドモンの搭乗機で、日本の武士鎧を思わせる外観が特徴のMFです。劇中前半の主人公機であり、本話ではレインが一時的に操縦したことでも話題になりましたja.wikipedia.org。レインはドモン不在時にシャイニングガンダムを駆ってデスアーミーを撃退し、合流後はドモンと二人でコクピットに乗り込んでいます。シャイニングガンダムはドモンとレインの<strong>2人のパイロット</strong>を乗せる形で、DG細胞に侵された4機の強豪ガンダムと黒いガンダムを相手に奮闘しましたja.wikipedia.org。とりわけ終盤ではドモン&レインの合体技「ダブルシャイニングフィンガー」が炸裂し、マスターガンダムを含む敵陣を撤退に追い込むという大活躍を見せますja.wikipedia.org。通常ドモンの感情エネルギーによって発動するシャイニングフィンガーも、今回はレインの想いを重ねることで威力が飛躍的に増大。光り輝く手刀で複数の敵を薙ぎ払い、本来1対1が前提のガンダムファイトでは異例の多対一バトルを勝利に導きました。なお、シャイニングガンダムは後にゴッドガンダムに主役機の座を譲りますが、この第13話が旧主人公機としての最大の見せ場と言えるでしょう。

ガンダムマックスター(ネオアメリカ) – チボデーの愛機で、ボクシンググローブ型の拳やアメフトの肩当てを備えた熱血漢のガンダムです。通常形態から「ボクサーモード」へ変形して戦う近接戦特化の機体ですが、本話ではDG細胞により攻撃力・機動力が大幅強化されて登場しました。地下鉄内でドモンを待ち伏せた際には生身のチボデーが主でしたが、終盤ではガンダムマックスターも出現し、鋼鉄の拳でシャイニングガンダムに猛攻を仕掛けていますg-gundam.net。もともとパワフルなパンチと豪快な必殺技「爆熱マシンガンパンチ」を誇る機体だけに、DG細胞で凶暴化したチボデーが操縦するとその破壊力は凄まじいものがありました。劇中ではシャイニングガンダムの必殺技をも受け止めるタフさを見せています。カラフルで陽気なデザインの機体が無言で敵となって襲いかかる様は不気味でもあり、ファンに強い印象を残しました。

ドラゴンガンダム(ネオチャイナ) – サイ・サイシーの愛機で、中国龍を模した装飾と伸縮自在のドラゴンクローを備えた機体です。通常は拳法のようなしなやかな格闘戦を得意とし、炎の竜「流星胡蝶剣」など華麗な必殺技を持ちます。本話ではサイ・サイシーが策略担当として暗躍したため、機体自体の活躍描写は控えめでした。しかし終盤ではシャイニングガンダム包囲のためガンダムマックスターらと共に姿を現し、DG細胞による機動性強化でドモンを苦しめますg-gundam.net。ドラゴンガンダム本来の鮮やかな中国武術風の戦いではなく、暴走的な連携攻撃に終始した点が普段との大きな違いです。なお、中盤以降サイ・サイシーが正気を取り戻してからは、本来のコミカルで派手な戦いぶりを見せてくれるようになります。

ガンダムローズ(ネオフランス) – ジョルジュが駆る機体で、青い騎士のような姿とマント、胸部の薔薇モチーフが特徴です。武器はエレガントなレイピア(剣)と12機のビット兵器「ローゼスビット」で、中世の騎士道戦を彷彿とさせる戦法を取ります。第4話ではドモンと一騎討ちを演じたガンダムローズですが、本話ではジョルジュ同様にDG細胞に操られ、死神の如き無言の攻撃を繰り出しました。東京タワーへ向かうドモンの前にまず現れたのは演奏中のジョルジュでしたが、終盤ではガンダムローズも参戦し、冷酷な猛攻でシャイニングガンダムを追い詰めていますg-gundam.net。美しく舞うような戦闘スタイルは影を潜め、容赦なくビットを叩き込むその姿は、優雅な仮面の下に狂気を宿したかのようでした。なお、本話終盤での乱戦では本来のパイロットであるジョルジュではなくマスターガンダムの遠隔操作で動いていた可能性もありますが、いずれにせよ正気を失った状態のガンダムローズはドモンにとって強大な脅威でした。

ボルトガンダム(ネオロシア) – アルゴが搭乗する重装甲・怪力自慢の巨漢ガンダムです。両肩に大きな円形ソーラーシステムを背負い、パワー重視の設計となっています。武器は巨大な**グラビトンハンマー(球鎖)**で、一撃必殺の破壊力を持ちます。本話ではアルゴ同様にDG細胞でパワーが底上げされ、鈍重な見た目に反して驚異的な跳躍力と推進力を発揮しましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。劇中では地下鉄跡で生身のアルゴが暴れ回る描写の後、シャイニングガンダム包囲の場面でボルトガンダムも登場します。他の3機と連携してドモンを攻撃し、その巨体でシャイニングガンダムを押さえ込むなど苦戦を強いる活躍を見せましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。普段は守りに徹した安定感のある戦い方をするボルトガンダムですが、操られた状態では攻撃的に猛進してくるため、ドモンも対応に手を焼いています。鉄壁の防御力も相まって、シャイニングガンダムの攻撃を物ともせず立ち塞がる様子は圧巻でした。

マスターガンダム(ネオホンコン) – 本話で初登場した謎の黒いガンダム。その正体は東方不敗マスター・アジアの乗機であり、シリーズ後半の最強の敵機です。流線型の漆黒のボディに赤い装飾という禍々しい姿を持ち、翼状のマント「マスタークロス」を展開して飛行も可能。マスター・アジアの人間離れした武術を完全に再現できる性能を持ちますg-gundam.net。最大の武器は掌部から放つ邪悪なエネルギー攻撃**「ダークネスフィンガー」で、シャイニングガンダムのシャイニングフィンガーをも凌ぐ威力を発揮しますg-gundam.net。本話ラストでシャイニングガンダムを圧倒した手刀こそ、このダークネスフィンガーでした。さらにマスターガンダムはデビルガンダム四天王のリーダー格であり、その機体自体がDG細胞で構成されているため驚異的な自己再生能力**を持ちますg-gundam.net。ドモンたち新生シャッフル同盟の前に立ちはだかる最強最悪の敵として、この第13話で不気味な序章を飾ったのです。

4. 技・演出

本話ではアクション演出と必殺技のオンパレードが光ります。まず冒頭、東方不敗マスター・アジアは前話に続き人間離れした体術を披露しました。生身でデスアーミー部隊に突撃し、愛用の布を鞭のように操って敵MSを木っ端微塵に粉砕するさまは痛快そのものですblog.goo.ne.jp。さらに極めつけはビーム弾の上に飛び乗ってしまう離れ業で、まるで物理法則を無視したカンフー映画のような超人アクションを繰り広げましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。この圧倒的演出にドモンも視聴者も目を見張りますが、マスター・アジアが異様に戦闘を楽しんでいるようにも見える点は後々の伏線となっていますbongore-asterisk.hatenablog.jp

一方、ドモン側のアクションも負けていません。地下鉄内部での肉弾戦では、ドモンが鍛え抜かれた身体能力で次々と襲い来る難局を凌ぎます。暴走する列車から紙一重で飛び退避する身のこなしや、荒廃した駅構内を駆け抜けて敵の策を逆手に取る様子からは、ドモンの格闘家としての成長ぶりが伺えます。「レインの情報も間違う時があるんだな」と暢気に独り言を漏らすコミカルな一幕もありbongore-asterisk.hatenablog.jp、シリアスな中にもGガンダムらしい軽妙さが演出されています。

シャイニングガンダム同士の連携プレーも見逃せません。レインが操縦するシャイニングガンダムが駆けつけ、ドモンを援護するシーンでは、通常では考えられない二人同時操縦という荒技が展開しましたja.wikipedia.org。レインは戦闘スーツ着用のままコクピットに乗り続け、ドモンと息を合わせて機体を動かします。ドモンが「シャイニングフィンガー」の掛け声を叫ぶと、それに呼応してレインも機体制御をサポート。合体シャイニングフィンガー発動時にはシャイニングガンダムの手から黄金のオーラが迸り、画面を埋め尽くすほどの閃光で敵を吹き飛ばしましたblog.goo.ne.jp。このシーンはまさに本話のクライマックスであり、演出的にもスローモーション画面分割などを駆使して2人の息遣いや決意が強調されています。必殺技発動時のドモンの名乗りも通常より長尺で、「愛と怒りと悲しみの…シャイニングフィンガー!」という熱い台詞が追加されていた点にも注目ですja.wikipedia.org(※テレビ放送当時は一部セリフが次回以降に持ち越されましたが、後の再編集版では完全版が視聴可能)。

そして忘れてはならないのが新必殺技「ダークネスフィンガー」の初披露です。黒いマスターガンダムが右手を怪しく発光させ、「暗黒の指」をシャイニングガンダムに叩き込むシーンは視聴者に大きな衝撃を与えましたblog.goo.ne.jp。シャイニングフィンガーの光がかき消され、ドモンが「う、うわぁーっ!」と悲鳴を上げる中、画面いっぱいに紫黒いエネルギー波がほとばしる演出は恐怖すら感じさせる迫力です。シャイニングフィンガーの<strong>対になる邪悪な必殺技</strong>として、このダークネスフィンガーは以後の物語でも重要な意味を持つことになります。まさしく光と闇の拳の対決が、本話で初めて描かれたのです。

5. 名シーン・名セリフ

  • チボデー地下鉄奇襲シーン – 荒廃した地下鉄トンネルに不気味な轟音が響き、動くはずのない電車が目前に出現する場面。車内の闇からチボデーが姿を現しドモンに拳を叩き込む瞬間は、「勝てるかこんなもん!」と思わず叫びたくなる恐怖とインパクトがありました(視聴者の戦慄体験としても有名)datenoba.exblog.jp。かつて陽気だったチボデーの豹変ぶりと、地下空間という閉塞感が相まって、生身のドモンが為す術なく圧倒される名シーンです。
  • レインの決意「女だからって負けないわよ!」 – シャイニングガンダムのコクピットで自ら戦闘スーツに着替えながら、レインが発する名台詞blog.goo.ne.jp。苦しげにスーツを装着する様子と共に放たれるこの言葉は、彼女の強い覚悟と気丈さを端的に表しています。普段サポート役だったレインが、自ら前線に立つことを選んだ瞬間として視聴者の胸を熱くし、「男勝りのヒロイン」の代表的名セリフとして今も語り継がれています。
  • ドモンの宣言「キング・オブ・ハートの名に懸けて!」 – 操られたライバル達との戦いに苦悩しつつも、ドモンが奮起する場面で飛び出す名台詞。「お前たちがキョウジの手先になってしまったのなら、俺は負けるわけにはいかない!キング・オブ・ハートの名に懸けても!」という叫びは、ドモンが背負う称号(キング・オブ・ハート)と責任を強く意識した瞬間でしたbongore-asterisk.hatenablog.jp。この言葉によってドモンは迷いを断ち切り、仲間であっても悪に染まったなら拳を交える覚悟を決めたのです。後に明かされるシャッフル同盟の伏線ともなっており、シリーズ全体でも屈指の名セリフとして挙げられます。
  • 合体シャイニングフィンガーの瞬間 – 本話最大の見せ場。ドモンとレインが共に「シャイニングフィンガー」を発動し、マスターガンダムに渾身の一撃を叩き込む終盤シーンです。ドモンの「俺のこの手が光って唸る!」の名乗りから「必殺!シャイニングフィンガー!!」までの一連の台詞回しは何度聞いても鳥肌ものblog.goo.ne.jp。ここではレインも「ドモン、今よ!」とタイミングを合わせ、2人の声がシンクロして放つ黄金の輝きが画面を覆います。敵味方問わず戦場全体が光に包まれ、次の瞬間には黒い機体が吹き飛ばされているというカタルシスは、まさにGガンダムらしい熱血演出でしょう。ドモンとレインの絆が初めて明確な形で威力を発揮した感動的な名シーンとしてファンの心に刻まれています。
  • 黒いガンダム出現 – 東京タワー前に忽然と姿を現した謎の黒いガンダム(マスターガンダム)が、不気味な赤いモノアイを光らせて佇むシーン。レインが「あ、あのガンダムよ!私が襲われたのは!」と恐怖混じりに叫び、ドモンが「なんだって!?」と驚愕する中で画面に映るその姿は、シリーズ屈指の<strong>衝撃的ビジュアル</strong>でしたblog.livedoor.jp。従来のどのガンダムとも違う禍々しいデザインと、正体不明のまま圧倒的な強さを見せつける登場演出は、多くのファンに「一体何者なんだ…!」という戦慄を植え付けた名場面です。

6. 裏話・制作トリビア

● 再登場の裏に玩具事情あり?
本話で敵に回った4人のガンダムファイターですが、彼らが再登場する展開には実は制作上の理由もありました。総監督の今川泰宏氏はインタビューで「序盤、マックスター・ドラゴン・ローズ・ボルトの4大ガンダムの扱いに苦労した」と語っていますg-gundam.net。ガンダムファイトのルールでは相手の頭部を破壊すれば即敗退となりますが、商品展開上メインのガンダム(=4大ガンダム)の頭を壊すわけにはいかず、決着を付けられなかったのだといいますg-gundam.net。実際、第2~5話でドモンが戦った4人との勝負は明確な勝敗が付かずに終わるものが多く、視聴者から「引き分け続きで消化不良」と思われる側面もありました。そこで新宿編(第12~15話)において彼らを再登場させ、物語のキーとして処理することでドラマ的にも玩具的にも一石二鳥を狙ったのです。いわば「倒しきれなかったライバルたちをどう再利用するか」の答えがDG細胞による敵化であり、さらにその先で彼らをシャッフル同盟の後継者として昇華させる展開へと繋がりましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。今川監督は当時を振り返り「当時は急場で理屈っぽい展開になったが、他にも方法はあったかもしれない」と述懐していますg-gundam.netが、結果としてファンに強い印象を残すエピソードとなった点で、この再登場劇は成功だったと言えるでしょう。

● 舞台・新宿ロケハン秘話
本作の前半クライマックスは「新宿編」と呼ばれ、第11~15話にかけて新宿を主戦場とする物語が展開しました。実は監督の今川氏がなぜ舞台を新宿に選んだかにはユニークな理由があります。それはスタッフに実際の街でロケーションハンティングを経験させたかったからだと言います。従来のガンダムシリーズでは架空のコロニーや戦場描写が多く、現地取材の機会が少なかったため、敢えて実在の繁華街・新宿を崩壊させた設定にし、スタッフ総出で新宿の町並みを見て歩いたそうです(監督談)reddit.com。その甲斐あってか、新宿都庁ビルや東京タワー、地下鉄駅など実在のランドマークが劇中に数多く登場し、荒廃した街の描写にもリアリティが感じられます。第13話冒頭でも新宿の高層ビル群や都庁レーダー施設が登場し、物語の臨場感を高めています。こうした異色のロケハンエピソードは、当時のサンライズ作品としても珍しく、Gガンダムならではの制作トリビアと言えるでしょう。

● ボンボン版コミックでは大幅簡略化
『機動武闘伝Gガンダム』は放送と同時期に児童誌「コミックボンボン」で漫画版(作画:ときた洸一)が連載されていました。漫画版は全13話(連載版)でTVシリーズ全49話分のストーリーを駆け足で描いており、本エピソードに該当する新宿編も1話分で凝縮されていますgundam.wiki.cre.jp。例えば漫画版第5話「シャッフル同盟VSマスターガンダム連合」という回で、ドモン達新生シャッフル同盟とマスターガンダム配下の勢力との決戦が一挙に描かれておりgundam.wiki.cre.jp、テレビの第13~15話に相当する内容をまとめて消化しています。そのため、チボデーら4人が操られる展開もテレビ版ほど細かくは描かれず、東京タワーのSOSやピアノの罠といったディテールは簡略化されています。コミックボンボン版では代わりにドモンとライバル達のタッグバトルや、アレンビーとのエピソードなど独自の展開も含まれており、一概にどちらが優れているとは言えませんが、テレビ版で印象深い本話のシーンが紙面ではあっさり処理されている点は興味深い違いです。近年、放送30周年を記念した復刻版コミックス『Re:Master Edition』も発売されましたがgundam.wiki.cre.jp、やはり新宿編はコンパクトにまとまったままです。テレビ版を見たファンにとっては若干物足りないかもしれませんが、そのぶん漫画版ではアクションシーンが丁寧に描き込まれているので、興味のある方はぜひ読み比べてみてください。

● DG細胞の恐怖とShuffle同盟
デビルガンダムの恐るべき技術「DG細胞」について補足しておきましょう。DG細胞とは、もともとネオジャパンが開発していたアルティメットガンダム(=デビルガンダム)の自己増殖素材で、金属でありながら生物のように成長し、さらには人間など有機物の体内に侵食・寄生できるという驚異の性質を持ちますg-gundam.net。体内に入り込んだDG細胞が脳まで浸食すると精神を完全支配され、その者は凶暴化して操り人形になってしまいますg-gundam.net。本話でチボデー達がまさにこの状態に陥り、ファイター本人だけでなく支援クルー達もまとめて洗脳されていました。これを救うカギとなったのが、マスター・アジアの旧友である先代シャッフル同盟の4人です。次話以降、Shuffle同盟の戦士たち(キング・オブ・ハート以外の4名、クイーン・ザ・スペード、クラブ・エース、ダイヤ・ジャック、ブラック・ジョーカー)がドモン達の前に登場し、命と引き換えに彼ら若きファイターをDG細胞から解放するというドラマが描かれますbongore-asterisk.hatenablog.jpbongore-asterisk.hatenablog.jp。そしてチボデーら4人は先代の遺志を継ぎ、新生シャッフル同盟の称号を授かるのですbongore-asterisk.hatenablog.jp。第13話のタイトルにある「5大ガンダム」とは本来ドモンを含む5人のガンダムファイターを指していましたが、皮肉にもこの時点では4人が敵側に回ってしまったため、ドモンはひとりで4大ガンダムを相手取る羽目になりましたg-gundam.net。しかしその試練を経て、5人はさらに固い絆で結ばれる盟友となったのです。まさに「ピンチの後にチャンスあり」を地で行く展開であり、本話はShuffle同盟誕生への重要な序章でもありました。

7. 解説・考察

● “5大ガンダム”同時バトルの演出意図
第13話最大の見どころは何と言ってもシリーズ序盤のライバル全員VS主人公というドリームマッチ的な構図です。しかし一歩間違えれば各キャラの見せ場が散漫になりかねない難しい脚本でもありました。制作陣はこの戦闘を段階的なミッション形式で描くことで緊張感を維持することに成功しています。地下鉄で1対1の肉弾戦から始まり、罠を交えた奇襲戦、屋外での乱戦へとシチュエーションを変化させ、最終的にガンダム同士の総力戦に至る流れは非常にスリリングです。それぞれの局面ごとに敵ファイターの個性(チボデーの奇襲力、サイ・サイシーの策略、アルゴの怪力、ジョルジュの知性)を活かした攻撃が用意されており、5人を同時に登場させつつもしっかり一人一人が見せ場を持っていました。特に地下鉄内という閉所を活かしたアクションや、東京タワーという象徴的な場所での決戦は、舞台装置としても効果的で観る者を飽きさせません。また、一対多の戦闘構成は作画コスト的にもハードルが高いものですが、巧みなカメラワークと演出で乗り切り、むしろシリーズ屈指の白熱バトルに仕上げた点は賞賛に値するでしょう。

● 師匠・マスターアジアの伏線
第12話で頼もしき味方として登場したマスター・アジアが一転、本話では怪しい動きを見せ始めます。弟子ドモンには悟られない微妙な匙加減で裏切りの伏線を張る演出はお見事でした。例えば、わざわざドモンと2人だけで救援に向かおうとした提案や、敵陣突入の道中で「競争だ」と述べ単独行動に持ち込んだ点、さらには戦闘中に不敵な笑みを浮かべている描写など、挙げればキリがありませんbongore-asterisk.hatenablog.jp。ドモンも「師匠は自分を信頼してくれているのだ」と深読みせず従ってしまう純粋さゆえ、マスターの不審な行動に気付きません。しかし視聴者から見ると「敵の総数も不明なのに2人きりで突入」は明らかに無謀で、「なんだか師匠が楽しげだぞ?」と違和感を覚えるシーンが随所にありましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。こうした微細な違和感の積み重ねが、次話で明かされる「実は黒幕だった」という衝撃をより際立たせています。結果論ではありますが、マスター・アジアが終始まともな人格者として描かれていたら、彼の裏切りは唐突すぎて視聴者も納得しにくかったでしょう。本話でうっすらと疑惑を匂わせておいたことで、物語全体に厚みが増し、後の展開への説得力も高まりました。監督の今川氏も「東方不敗の登場は作品のターニングポイントだった」と述べておりg-gundam.net、この新宿編で物語を大きく舵切りできたことがシリーズ成功の鍵の一つだったと言えます。

● ライバルたちとの絆と変化
本話は単なるアクション回に留まらず、ドモンとライバル4人の関係性の変化を描いた点でも重要です。第2~5話での初対決時、ドモンは彼らを倒すべき敵として見ていました。しかし各国のファイター達と触れ合う中で友情や尊敬の念が芽生えつつあった矢先に、彼らが敵の手先となって現れるという皮肉な展開となりました。ドモンは「どうして君たちが…」と動揺しつつも戦わざるを得ず、その葛藤が表情や台詞から伝わってきます。特にジョルジュに対しては「君まで牙をむくのか!?」と困惑を露わにしておりbongore-asterisk.hatenablog.jp、単なるライバル以上の親しみが芽生えていたことが伺えます。一方でドモンは「仲間であっても悪に落ちたなら拳で止める」というファイターとしての非情な決意も示しましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。この割り切りこそ、後に師匠や兄との戦いに挑む覚悟へと繋がっていきます。また、チボデー達本人にとっても、本話でドモンに倒された(正確には助けられた)経験は大きな転機でした。DG細胞の洗脳から解放された後、彼らは自らの無力さを痛感しつつドモンへの恩義を抱えることになります。それが第15話での新生シャッフル同盟結成に直結し、以降は5人が固い友情で結ばれたチームとしてデビルガンダムに立ち向かう原動力となりました。つまり、第13話は「宿命のライバルが真の仲間へ昇華する」というドラマが裏にあり、単なるバトル以上に物語上の意義が深い回なのです。終盤、重傷のドモンに代わってレインがシャイニングガンダムを動かす場面も、2人の信頼関係を示すと同時に、ファイターとサポーターの垣根を超えた真のパートナーシップが芽生えた象徴と言えるでしょう。このように本話はキャラクターの心理と絆の転換点として丁寧に作り込まれており、全話視聴済みのファンが振り返ると新たな発見がある巧みなエピソードなのです。

● 懐かしさと90年代らしさ
放送当時を知るファンにとって、本話は強烈な驚きと同時にどこか懐かしさも感じさせる回でした。往年のスーパーロボットアニメでは、ライバルキャラが洗脳されて主人公と再戦する展開や、味方が敵に回る王道パターンがしばしば描かれてきました。Gガンダム第13話はそうした昭和〜平成初期ロボットアニメの系譜を受け継ぎつつ、熱血とバトルに全振りした演出で平成中期の視聴者に新鮮な驚きを与えました。特に、ラストで謎を引っ張ったまま次回へ続く引きは週刊連載漫画的な盛り上げ方で、当時子供だった視聴者は「早く来週が見たい!」と胸を躍らせたものです。ピアノのSOSや東京タワーといった要素にも、どことなく特撮ヒーロー番組の香りが漂い、実際に本作はウルトラマンや仮面ライダーと同様の熱狂を子供たちにもたらしました。演出面では作画のタッチや音響効果など、いかにも90年代中盤らしい派手さと勢いが感じられ、令和の現在から見返すと逆に新鮮に映るかもしれません。ネット上でも「このありえないノリと熱さが癖になる」と再評価の声が多く、本話は時代を超えて愛されるカルト的人気回となっています。

8. 筆者コメント(あとがき)

第13話「大ピンチ!敵は5大ガンダム」は、私にとってもGガンダム屈指の思い出深いエピソードです。初見時(子供の頃)には、まさかあのチボデー達が一度に敵となって襲いかかるなんて想像もしておらず、テレビの前でハラハラドキドキしたのを覚えています。当時は「こんなの勝てるわけないじゃないか!?」とドモン同様に絶望感を味わいましたが、そこからドモンとレインの底力で大逆転する展開には興奮で震えました。大人になった今、改めて見返してみると、単なるバトルアニメの範疇に留まらない丁寧な心理描写や伏線配置に感心します。特に師匠マスター・アジアの振る舞いに着目すると、「ああ、この時点でもう企んでいたのだな」とニヤリとしてしまいました。また、レインがシャイニングガンダムを操縦するシーンは何度見ても痛快ですね。普段サポート役のキャラが奮起する展開は王道ながら胸が熱くなりますし、何よりピンクの戦闘スーツ姿のレインがとても凛々しく格好良い! 本作のヒロイン像を体現した名場面だと思います。筆者個人としては、合体シャイニングフィンガーで流れるBGM「我が心 明鏡止水」が最高に盛り上げてくれる点もお気に入りです。そして何と言ってもラストに登場した黒いガンダムのインパクト! 当時、「ガンダム=正義の象徴」というイメージが強かった中で、あの邪悪な容姿と圧倒的強さは衝撃でした。「ガンダムが怪獣や悪役になる」というGガンならではの斬新さに度肝を抜かれたものです。…などと語りだすとキリがありませんが、それほどまでに第13話はネタ満載で語り甲斐のある回でした。全話視聴済みのファンの皆さんも、ぜひ細部に目を凝らしながらもう一度このエピソードを観てみてください。当時のワクワクが蘇るとともに、新たな発見や解釈がきっとあるはずです。

9. 次回予告

「暗黒の力に敗れ、絶体絶命のドモン!立ちはだかる師匠にシャイニングフィンガーは通用しないのか!?次回、第14話『衝撃!シャイニング・フィンガー敗れたり』。仮面の下の真実がついに明かされる!ドモンの叫びが新宿の夜を裂く!そして運命のシャッフル同盟、その継承の時…。風雲急を告げる次回を見逃すな!!

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