1. あらすじ(ネタバレあり)
第18話あらすじ:デビルガンダムとの新宿決戦を経て、自らの未熟さを痛感したドモン・カッシュは、レインと共に南米ギアナ高地へ修行に赴きますg-gundam.net。そこはかつて東方不敗マスター・アジアと特訓を積んだ地であり、シャイニングガンダムのスーパーモードを自在に扱えるよう鍛錬するのが目的です。滝に打たれるドモンは「この程度の滝に勝てない様では…くそぉぉ!!」と渾身の気合で修行に没頭しますdatenoba.exblog.jp。一歩間違えれば命を落としかねない荒行ですが、ドモンはマスター・アジアや宿敵デビルガンダムをイメージしながら大自然に挑み、己を高めようとしていましたdatenoba.exblog.jp。
一方その頃、ネオアメリカ代表チボデー・クロケットの周囲でも動きが。チボデーは先のデビルガンダム戦の恐怖に囚われ、悪夢にうなされるほど自信喪失していました。彼の付き人である4人の少女クルー、“チボデー・ギャルズ”はそんな彼を立ち直らせるため一計を案じます。謎の老人(正体はネオドイツ代表シュバルツ・ブルーダーと思われる)の独り言からドモンがギアナ高地にいると知った彼女たちは、「運命のライバルであるドモンと戦えばチボデーが再起できるはず」と考え、シャイニングガンダムの戦闘データ奪取を目論んでギアナ高地へ向かいましたg-gundam.netdengekionline.com。4人はチボデーには内緒で旅立ち、残されたチボデーには一通の手紙だけを残します。その手紙には:
「愛しのチボデー…私達4人は、腑抜けた貴方の姿を見ていられないの…そこでギアナ高地へ向かう事にします。貴方の代わりにドモン・カッシュを倒し…そう、ガンダムファイターのクルーの誇りにかけてもね! 追伸、その気があるなら見物に来て。」datenoba.exblog.jp
と書かれていました。突然姿を消した彼女らの置手紙を読んだチボデーは「バッキャロー!!あいつ等、俺に黙って余計な事しやがって!」と酔いも吹き飛ぶ勢いで激昂しますdatenoba.exblog.jp。しかし同時に、仲間の真剣な思いを理解した彼は急ぎ彼女たちを追ってギアナ高地へ向かいました。
ギアナ高地では、修行中のドモンの前にチボデー・ギャルズ4人が現れます。彼女たちはレインを出し抜きシャイニングガンダムの戦闘データをディスクにコピーすることに成功datenoba.exblog.jp。不意を突かれたレインでしたが、自分たちの行為に悔悟の色を見せない彼女らに対し、「だって、チボデーのためには…!」と涙ながらに説得を試みます。本来心優しいレインは、敵対行為をした彼女たちにも怒りより説教で諭そうとするのでしたdatenoba.exblog.jp。しかしそんなやり取りの最中、追ってきたチボデーが到着します。
チボデー登場とドモンとの再戦: チボデーは修行に励むドモンの鬼気迫る姿を目の当たりにし、「間違いねぇ…ヤツは悩むだけじゃない!前へ進んで戦うことだけを考えているんだ!」と感じ入りますbongore-asterisk.hatenablog.jp。自分が怯えて足踏みしている間に前進を続けるドモンの姿に刺激を受け、チボデーの戦意が再燃しました。彼はドモンに対し「それが大アリなんだよ!ドモン・カッシュ!お前にガンダムファイトを申し込む!」と高らかに宣言datenoba.exblog.jp。こうしてドモン対チボデーのガンダムファイトが急遽始まる運びとなります。
戦いはシャイニングガンダム(ドモン)とガンダムマックスター(チボデー)の激突となりました。先の新宿戦以来、互いに初めての再戦です。最初はドモンの猛攻に臆していたチボデーでしたが、拳を交えるうちに次第に本来の闘志を取り戻していきます。対するドモンもチボデーとの戦いを「これ以上ない修行の好機」として歓迎し、二人は熱い殴り合いを展開しましたdengekionline.com。しかしその激闘の最中、ギアナ高地の崖に大規模な地響きが発生し、巨大な岩石が崩落してしまいます。落石がドモンたちとギャルズに迫る危機的状況に、チボデーは咄嗟にガンダムマックスターの拳で岩石を粉砕!この荒業にレインも「は…チボデー!いつの間にこんなパワーを?!」と驚愕しますdatenoba.exblog.jp。
落石騒動でファイトは中断となりましたが、この危機対応を経てチボデーは完全に恐怖を振り払います。「分かったぜ!俺もあのデビルガンダムの恐怖を叩きのめしてやる!このファイター魂でな!」と、彼は自らの怯えを克服することを高らかに宣言しましたdatenoba.exblog.jp。そう、仲間の献身に奮起した彼は二度と恐れに屈しないことを誓ったのです。
事件後、チボデーはギャルズたちが盗んだシャイニングガンダムの戦闘データディスクを受け取ると、その場で握り潰して粉々に破壊しましたdatenoba.exblog.jp。「俺の気持ちは分かってんだろうな!」と叱責するチボデーに、リーダー格シャリーたちも深く反省します。かくしてチボデー・クロケットは正々堂々と自分の力で立ち直り、ドモンも良きライバルの復活を喜ぶのでした。
最後はレインがけが人の手当てをしつつ(もっとも大怪我人はおらず幸いでした)、ドモンたちは再び修行を続行。そして舞台裏では、謎の覆面ファイター・シュバルツが「フフフ…竜虎相打つ。面白くなってきたぞ」と不敵に笑い、ドモンの成長に一役買ったことをほのめかして物語は次回へ続きますdatenoba.exblog.jpdatenoba.exblog.jp。
2. 登場キャラクター
第18話に登場する主なキャラクターと、その見どころポイントを振り返ります。今回は女性キャラたちの活躍が光るエピソードでもありました。
- レイン・ミカムラ – ネオジャパン代表ドモンの幼馴染みにしてサポートクルーja.wikipedia.org。医師免許を持ちメカニック整備からモビルファイター操縦までこなす才女ですja.wikipedia.org。本話ではドモンの無茶な修行に付き添い、彼の身を案じながら支えています。チボデー・ギャルズの奇襲を受けた際も、敵対する彼女たちに説教をするなど心の強さと優しさを発揮datenoba.exblog.jp。戦闘データを奪われて悔しい立場ながら、「チボデーのため」と行動した彼女らの想いを理解し、後述の通り最後は大事に至らないよう尽力します。シリーズ全話視聴済みのファンにはおなじみですが、レインは当初ドモンの身勝手さに怒って「ドモンのバカ!もう絶交よ!」と噴き上がるコミカルな面もありました。しかし物語後半になるにつれ、二人の絆は深まりお互いに欠かせないパートナーとなっていきますja.wikipedia.org。今回もレインの献身がドモンと仲間たちを救う陰の立役者でした。
- チボデー・ギャルズ – ネオアメリカ代表チボデーのサポートクルーである4人組の少女たち。メンバー全員17歳で、地球のニューヨーク・ダウンタウン育ちja.wikipedia.org。チボデーと出会う前は荒んだ生活を送り、生きるためにスリやケンカに明け暮れていた過去がありますja.wikipedia.org。かつてコロニーへ密航しようとして失敗し逮捕されかけたところ、偶然同じシャトルに乗り合わせていたチボデーに「かつてのハングリーだった自分」を重ね見られ、彼からクルーに誘われたという経緯がありますja.wikipedia.org。以来、常に彼の傍らで支える良き仲間です。本話では彼女たち自身がチボデーを励ますため、自ら行動を起こしました。各メンバーの特徴は以下の通りですg-gundam.netg-gundam.net:
- シャリー・レーン (Shirley Lane) – チボデー・ギャルズのリーダー格。一番大人びた雰囲気で、ガンダムマックスターの整備担当を務める頼れる存在g-gundam.net。物語中でも比較的冷静で、今回も老人(シュバルツ)の独り言に何かを感じ取りバニーを制止しようとする場面がありましたdatenoba.exblog.jp。しかし結局は仲間と共に作戦を実行することになります。
- ジャネット・スミス (Janet Smith) – ギャルズの一人で、シャリーと共にメカニック整備を担当g-gundam.net。茶髪でボーイッシュな彼女もまたチボデーへの忠誠心が厚く、今回の作戦でも積極的に行動しました。メカ担当としてシャイニングガンダムのデータディスクを入手する際も力を発揮したことでしょう。
- キャス・ロナリー (Cath Ronary) – 医療担当のクルーg-gundam.net。セミロングの髪が特徴で、平時はチボデーの日々の健康管理やケガの手当てを担っていますg-gundam.net。ギャルズ内では理知的な印象で、今回もレインに対し「だってチボデーの為には…」と食い下がるなど芯の強さを見せました。ただし自分たちの暴走によってチボデーが怒り心頭だったこともあり、終盤は深く反省していた模様です。
- バニー・ヒギンズ (Bunny Higgins) – オペレーター担当で、無線通信や作戦オペレーションを受け持つクルーg-gundam.net。金髪ポニーテールに活発な性格で、ギャルズ内のトラブルメーカーでもありますg-gundam.net。まさに今回、率先して「ドモンを倒してチボデーを奮起させる」無鉄砲な作戦を提案・主導したのがバニーでしたdatenoba.exblog.jp。彼女の暴走には他の3人も若干引き気味でしたが、同時にその情熱がチボデー復活のカンフル剤になったことも事実です。物語後半でもバニーはコミカルな騒動を起こす場面がありますが、憎めない愛嬌でチームを盛り上げるムードメーカーと言えるでしょう。
- チボデー・クロケット – ネオアメリカ代表ガンダムファイター。本話は彼のリハビリ回とも言え、宿敵デビルガンダムに心を折られた彼が仲間の力で再起する物語でした。詳細は次章以降で触れますが、彼自身は序盤こそ酒に溺れる姿を晒し「腑抜け」状態。しかしギャルズの奮起に打たれドモンとの戦いで完全復活を遂げます。最終的に「俺もデビルガンダムの恐怖を叩きのめしてやる!」という力強い宣言datenoba.exblog.jpは、ファンにとって胸熱な名シーンでした。なお彼はかつて100戦無敗のボクシングチャンピオンであり、**道化恐怖症(ピエロ恐怖症)**や貧しい孤児出身という背景を持つキャラクターですja.wikipedia.org。第18話で描かれた弱さと強さの両面は、まさにチボデーという人物の深みを示していたと言えるでしょう。
- マリアルイゼ – ネオフランス元首の一人娘で、ジョルジュ・ド・サンドの公認(?)の婚約者的存在。13歳のおてんば姫であり、ジョルジュに夢中な彼女は第4話では自作自演の誘拐事件まで起こしたほどのトラブルメーカーですgundam-c.com。本話では直接登場シーンはありませんでしたが、次回以降のギアナ高地編で他のサブキャラ同様に姿を見せます。時折一般市民の格好で城を抜け出す行動派で、本編終盤のランタオ島決戦ではジョルジュの危機にコクピットのコーナーポスト破壊に身を投じるという度胸も見せましたgundam-c.com。ファンの間では「マリアルイゼ様」と呼ばれ愛されるキャラクターで、その無鉄砲さはバニーに通じるものがあります。
- ナスターシャ・ザビコフ – ネオロシア代表アルゴ・ガルスキーの女性監督官。25歳のネオロシア軍人であり、元囚人のアルゴを電子手錠で管理する立場にあります(いわば教官兼監視役)srw.wiki.cre.jpja.wikipedia.org。金髪に冷徹な雰囲気をまとい、当初は任務最優先の非情さもありましたが、物語が進むにつれアルゴとの信頼関係を築いていきます。本話中には名前のみの言及ですが、ギアナ高地にはアルゴと共に滞在している様子。次回では少林寺の僧たち(恵雲&彩雲)に対しガンダムファイトの申し入れを受ける場面があり、女指揮官として毅然と対応する姿が描かれますbongore-asterisk.hatenablog.jp。劇中では彼女もデビルガンダム事件で捕らわれた市民たちを救う戦いに加わり、マリアルイゼらと共に決戦では戦艦ゴルビーIIの砲撃手も務めていますja.wikipedia.org。アルゴにとっては厳しくも理解ある相棒であり、本作の女性陣の中でも異色の「軍人ヒロイン」として魅力を放っています。
- 少林寺の僧侶たち(恵雲&瑞山) – ネオチャイナ代表サイ・サイシーの付き人である少林寺拳法の老僧コンビ。恵雲(けいうん)は太め、瑞山(ずいざん)は細身と体格も対照的で、サイ・サイシーのお目付け役兼サポートクルーとして常に行動を共にしていますja.wikipedia.org。コミカルなおじいちゃんコンビで、サイに説教したりフォローしたりと賑やか担当です。第18話では出番がないものの、次回第19話では彼らがナスターシャにサイとアルゴのガンダムファイトを申し込むシーンがありますbongore-asterisk.hatenablog.jp。その直後に起こった事件でサイが暴走した際には、二人して「サイ・サイシー様ー!落ち着いてくだされー!」と大慌てするなど笑いを提供しました。終盤では他のサポート陣と共に、彼らもデビルガンダム打倒に力を貸しますja.wikipedia.org。物語序盤から登場し、カンフー奥義「石破天驚拳」の伝承やサイの成長にも関与する重要人物ですが、何よりそのコミカルな掛け合いが作品の明るさに一役買っていました。
以上、本エピソードに関連するキャラクターたちでした。ドモンとレインという主人公ペアだけでなく、各国ファイターのサポートメンバーに焦点が当たるのも本作ならではの魅力です。今回は特に女性キャラ陣(レイン、ギャルズ、マリアルイゼ、ナスターシャ)がストーリー上で重要な役割を果たし、作品に華を添えていました。それぞれキャラクターの個性が際立つ描写で、ファンにとって懐かしくも新たな発見のある回だったのではないでしょうか。
3. 登場モビルファイター
第18話に登場した主なモビルファイター(MF)を紹介します。ガンダムファイトならではの個性的な機体が揃いました。
- シャイニングガンダム – ネオジャパン代表ドモン・カッシュの搭乗機。白と青を基調に、日本刀型のビームソードなどを装備した日本流派のMFです。機体にはスーパーモードと呼ばれる隠された強化形態があり、これまではドモンの怒りによって発動する不安定な代物でしたbongore-asterisk.hatenablog.jp。ドモンはこのスーパーモードを自在に制御すべく本話で修行しており、物語冒頭ではその一端としてマスター・アジア直伝の「石破天驚拳」開発につながる伏線も感じられます(滝を割る修行シーンはまさに気の集中を示唆しているようです)。劇中ではチボデーとの戦いで通常形態のまま互角に渡り合い、落石にはシャイニングフィンガーで対処するなど活躍しましたdatenoba.exblog.jp。スーパーモード発動こそありませんでしたが、ドモンの成長ぶりがうかがえる戦いぶりでした。
- ガンダムマックスター – ネオアメリカ代表チボデー・クロケットの搭乗機ja.wikipedia.org。青いアメフトの肩プロテクター風アーマーとボクシンググローブ型の拳が特徴のMFで、まさにスポーツ&格闘アメリカンスタイルなデザインです。必殺技は豪熱マシンガンパンチ(劇中未使用)やバーニングパンチなどパンチ系が中心。第18話では序盤、チボデーがこの機体でネオモンゴル代表テムジンガンダムと試合を行いますが、デビルガンダムのトラウマから調子が上がらず苦戦しますbongore-asterisk.hatenablog.jp。一時は街ごと巻き込むほど感情的な攻撃をしてしまい自己嫌悪に陥る場面もありましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。しかし終盤、ドモンとの再戦では本来のパワフルさを取り戻し、岩をも砕くパンチ力を披露datenoba.exblog.jp。この岩砕きは後の新必殺技「豪熱マシンガンパンチ」への伏線にも感じられ、ファンには嬉しいサービスでした。なお、マックスターはガンダムローズやドラゴンガンダムと並びシャッフル同盟入りした機体でもあり、本エピソード以降も決勝大会での活躍が期待されます。
- テムジンガンダム – ネオモンゴル代表のMFで、本話冒頭に登場しましたja.wikipedia.org。モンゴルの英雄テムジン(チンギス・ハーン)に由来する名を持つ機体で、パイロットはキル・ハーンという男性ファイターです(名前もモンゴル風ですね)。外見は遊牧民の鎧武者のような意匠で、おそらく馬上槍やサーベル的な武器を持つと推測されます。劇中ではチボデーのガンダムマックスターと対戦し、チボデーの不調もあって一時は善戦してみせましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。最終的にはチボデーが暴走気味に反撃したため機体大破寸前に追い込まれますが、この勝利もチボデーには後味の悪いものとなりましたbongore-asterisk.hatenablog.jp。テムジンガンダム自体の出番は短いですが、チボデーの内面描写に大きく関わった存在と言えます。余談ですが、その名からしてチンギス・ハーンの血脈を思わせるなど世界各国の特色を反映するGガンらしい一機でした。
- デスアーミー(デス兵士) – 本話では直接の登場はありませんが、名前が話題に上った敵兵器として挙げておきます。デビルガンダムに操られる無人量産MSで、人間をDG細胞で改造したゾンビ兵士が搭乗しています。新宿編で大量に登場し、チボデーたちを苦しめました。本エピソード序盤でもチボデーの悪夢にデビルガンダムやデスアーミーが登場し、彼のトラウマを刺激しています(戦闘中にもフラッシュバックが起きていました)datenoba.exblog.jp。次回以降のギアナ高地編でも、彼らデス軍団が不意に乱入してくる場面が用意されており、本筋に絡んできます。デスアーミー自体はモノアイの量産型MSですが、ザコ敵とはいえ侮れない存在です。特に大量発生して物量で押してくる厄介さは第19話で遺憾なく発揮されることになります。
以上が第18話に登場した主なモビルファイターです。いずれも個性豊かで、リアルロボット路線のガンダムシリーズとは一線を画すデザイン&コンセプトが魅力ですね。Gガンダムは「各国代表のガンダム」がテーマなだけあり、モチーフが明快で見ていて楽しいのも特徴です。当時玩具展開も盛んで、筆者もプラモデルを組み立てながら各機体のギミックにワクワクしたものです。シャイニングガンダムの頭部変形によるスーパーモード再現や、マックスターのボクシンググローブ着脱など、第18話を機にプラモデル情報を漁った思い出があります(90年代当時、雑誌や説明書を穴が開くほど読み込みました…)。ぜひ皆さんもお気に入りのMFをもう一度チェックしてみてください。
4. 技・演出(女性キャラの戦闘描写、ギャグとバトルの融合演出)
本エピソードの見どころは、バトルシーンとギャグ演出の絶妙な融合です。特に女性キャラクターたちの活躍がフィーチャーされ、コミカルさと熱い戦いが同居するユニークな回となりました。
まず注目すべきはチボデー・ギャルズの戦闘描写です。通常、ガンダムファイトは各国のガンダムファイター同士で行われますが、本話ではクルーである彼女たちが自ら前線に立ちました。もちろんモビルファイター同士のガチバトルではなく、人間サイズでの諜報戦・小競り合いでしたが、4人の少女がドモン=シャイニングガンダムに立ち向かう図はなかなか新鮮です。彼女たちはレインの目を盗んでシャイニングガンダムのデータを抜き取る際、連携して手際よく作業をこなしました。おそらくシャリーとジャネットがメカ知識を活かしてアクセス、バニーがお得意のオペレーションでサポート、キャスが周囲の見張り役というように役割分担したのでしょう。結果的に計画は成功し、見事データをディスクにコピーしていますdatenoba.exblog.jp。この一連のシーン、映像的にはさながらスパイ映画のようで痛快でした。普段は応援や整備に徹するサポートクルーが「自ら戦う!」となった時の燃える展開と同時に、「女子高生スパイ大作戦」的なコミカルさも感じられ、演出の妙を楽しめます。
一方、女性同士の直接対決も描かれています。ギャルズ vs. レインの場面では、レインが必死にデータ奪取を阻止しようとしますが、多勢に無勢で縛られてしまうようなピンチもありました(公式に明言はないですが、4人がかりでレインを抑え込んだ可能性が高いです)。ここではレインが「あなたたち、目を覚まして!」と説得するシリアスな空気ながら、ギャルズ側は「私たちはチボデーのために昔のヤンチャだった頃の私たちに戻るのよ!」とノリノリで暴走datenoba.exblog.jp。この温度差がコミカルで、まさにギャグとシリアスの狭間です。レインは科学者肌で常識人ですから、彼女からすれば「なんて無茶を…」という呆れもあったでしょう。しかし同時に、恋人(ドモン)と仲間(チボデー)双方を想う女性たちの対峙でもあり、感情的なぶつかり合いが視聴者の心にも迫ります。
また、ドモン対チボデーの戦闘演出にも随所にユーモアが散りばめられています。例えばドモンが滝修行から戻り、チボデーと対峙するシーン。チボデーは泥酔状態から急遽駆け付けたため、最初よろけているのですが、ギャルズの挑発に「見物に来て?だと?」と読んだ瞬間、一瞬で酔いが吹き飛び正気に戻りますdatenoba.exblog.jp。この酔拳ならぬ酔い覚ましのコミカルな切り替えは笑いを誘いました。そしてガンダムファイト開戦の宣言では、「お前にガンダムファイトを申し込む!」とチボデーがタンカを切るのですが、ドモンが満面の笑みで「望むところだ!」と答えるカットも印象的です。直前までシリアスだったドモンが、ライバルの挑戦に少年のような笑顔を見せるギャップは微笑ましく、ここでも演出上の緩急がついています。
戦闘中にもギャグ要素は健在です。ドモンとチボデーの殴り合いは基本まじめに熱いバトルですが、ギャルズ4人が地上から黄色い声援を送る場面などはまさしくボクシングのリングガールかチアリーダーのノリで、笑いを誘います。レインがそれに若干呆れつつ「まったくもう…」とため息混じりに見守る姿も描かれ、まるで彼女が保護者か先生のようでした。このようにシリアスな決闘の最中でもコミカルなカットを挟むことで、視聴者は緊張しっぱなしにならずクスッと和める塩梅になっています。
女性陣の奮闘にフォーカスすると、もう一つ見逃せない演出がありました。終盤、岩石崩落でギャルズたちが危機に陥った際、レインは自分も危ない状況にも関わらず彼女たちを庇おうとします。実際にはチボデーが岩を砕いて事なきを得ましたが、直後にレインが彼女たちに駆け寄り「大丈夫?」と声をかけるシーンがあります。敵味方関係なくケアするレインの献身ぶりに、さすがのギャルズも心を打たれた表情を見せました(この後彼女らがしょんぼり反省している様子から察せられます)。女性同士の共感と和解を描くことで、単なるドタバタ劇で終わらせず人間ドラマとして締めている点が秀逸です。
総じて、本話の演出は**「笑い」と「熱さ」のメリハリが素晴らしいと感じます。監督の今川泰宏氏は元々ヒーローアクションとギャグの融合が得意ですが、Gガンダムでもその持ち味が遺憾なく発揮されています。例えばBGMも、ドモンとシュバルツの対決では重厚な曲調だったのが、この18話ではチボデーギャルズ登場シーンで軽快なコミカル調の曲に切り替わったりします。視聴者は「今回はちょっとコミカル回かな?」と察知しつつも、中盤からはドモンとチボデーの厚い友情・ライバル関係の物語に引き込まれていくわけです。この振り幅**があるからこそ、シリアス一辺倒では得られないカタルシスが味わえます。実際、ネット上の感想でも「笑えるのに燃える」「ギャグ回かと思いきや大事な回」と評する声が多く見られました。
さらに細かい演出で言えば、ドモンの修行シーンも一種のコミカルさがあります。視聴者からすると「また滝行かよ!?」とツッコミたくなるくらい、ドモンは作中でしょっちゅう滝に打たれています。まさにニチアサ(当時は夕方ですが)名物の謎修行シーンで、今回も例に漏れず「ともかく滝に向かっていた」という印象が強いですbokuasa01.blog.jp。しかしこのお約束の滝シーンがあるからこそ、ファンは「来た来たドモンの滝行!」と嬉しくなってしまう不思議。演出的には流石にマンネリになるのを避けたいところでしょうが、本話ではシュバルツの幻影やドモンの苦悩シーンをフラッシュバックさせることで、ただの筋トレではない意味づけをしています。結果として滝修行=ギャグという図式にはならず、「ドモン頑張れ!」と応援したくなる絶妙なバランスに仕上がっています。
以上、女性キャラの戦闘描写とギャグ×バトル演出について述べました。Gガンダムらしい熱血とコミカルの融合が存分に楽しめる第18話は、何度見ても飽きない名エピソードです。笑い飛ばしつつも最後はホロリと感動させられる…そんなジェットコースターのような演出に拍手を送りたいですね。
5. 名シーン・名セリフ
第18話にはシリーズ屈指の名シーン・名セリフが数多く含まれています。視聴済みファンの皆さんも思わずニヤリとしてしまうであろう、印象的な場面をいくつか振り返りましょう。
- 「バッキャロ!!あいつ等俺に黙って!余計な事しやがって!」datenoba.exblog.jp
チボデーが酔い潰れている所に残されたギャルズからの手紙。その内容を読んだ瞬間、彼が血相変えて放った怒号です。「バッキャロ(=バカヤロー)!」という荒々しい叫びは、声優の大塚芳忠さんの熱演も相まって耳に残ります。普段クールなチボデーが激昂するギャップが面白く、なおかつ彼女たちを本気で案じていることが伝わる名セリフでした。直後に泥酔状態から一気に覚醒するくだりもコミカルで、このシーン全体が語り草です。ネット上でも「バッキャロ!!」はちょっとした流行語(?)になったとか。 - 「愛しのチボデー…私達4人は、腑抜けた貴方の姿を見ていられないの…」datenoba.exblog.jp
上記のチボデーが読んだギャルズからの手紙の書き出し部分です。乙女チックな呼びかけに始まり、「宿命のライバルを倒してあなたを目覚めさせる!」という内容は、まるで往年の少女漫画と少年漫画をごちゃ混ぜにしたような熱さと可笑しさがあります。作中でも手紙の文面がナレーション的に朗読される演出になっており、そのシュールさに笑った視聴者も多いでしょう。「ガンダムファイターのクルーの誇りにかけてもね!」という一文はギャルズのプライドを感じさせますし、最後の「その気があるなら見物に来て。」という挑発も効いていて秀逸ですdatenoba.exblog.jp。この手紙全文はGガンダム名セリフ集にも載せたい傑作で、後の展開(チボデーが見物どころか本気参戦してくる)へのワクワク感を煽りました。 - 「それが大アリなんだよ!ドモン・カッシュ!お前にガンダムファイトを申し込む!」datenoba.exblog.jp
ドモンとの再会時、闘志を取り戻したチボデーの決めゼリフです。「それが大アリなんだよ!」はチボデーの口癖交じりの快諾表現で、直前ドモンに「本当に戦うのか?」と問われたことへの返答になっています。颯爽とタキシードのようなファイティングスーツ姿で名乗りを上げ、拳を突き出して宣戦布告するチボデーの姿は実にカッコイイ!datenoba.exblog.jp 対するドモンも嬉しそうに微笑んで「望むところだ!」と頷くシーンまで含めて一連の名場面ですね。男性同士の熱い友情とライバル関係が凝縮された瞬間で、見ているこちらまで拳を握りしめてしまいます。後の「機動戦士ガンダムSEED」など他作品でも「ガンダムファイトを申し込む!」というパロディが見られましたが、やはり元祖のこのシーンのインパクトは別格です。 - 「チボデーの凄まじい気迫ぅぅ!これ以上の修行は無いぜぇ!」datenoba.exblog.jp
ファイト中、ドモン(あるいはシュバルツ)が発したとされるセリフ。チボデーが本調子を取り戻し互角以上に殴りかかってきたことに対する賞賛の叫びです。うろたえるどころか喜んでいるドモンの心情が現れており、まさに“ライバルとの戦いを通じて己を高める”ガンダムファイトの真髄を表しています。「これ以上の修行は無い」という言葉は、そのまま今回のエピソードテーマとも言えるでしょう。序盤でシュバルツに未熟さを叩き込まれ落ち込んでいたドモンが、再びファイティングスピリットを燃やしているのがわかる名セリフです。 - 「分かったぜ!俺もあのデビルガンダムの恐怖を叩きのめしてやる!このファイター魂でな!」datenoba.exblog.jp
本エピソードのクライマックス、チボデー完全復活の宣言です。自分を蝕んでいた恐怖心を乗り越え、再び前だけを見ることを決めた瞬間のセリフであり、その晴れやかな表情と力強い声は見る者の胸を熱くさせます。「ファイター魂でな!」という言い回しが実にチボデーらしく、どんな困難も魂(スピリット)でねじ伏せるという彼の信条が表れています。ギャルズたちも涙ぐみながら喜ぶこの場面、視聴者としても「よくぞ言った!」と拍手喝采したくなる名場面でしたdatenoba.exblog.jp。デビルガンダム編でのトラウマを背負った他のファイター(ジョルジュ、サイ・サイシー)にも先駆けて、チボデーが真っ先に克服してみせたことは、彼の精神的成長を示すとともに仲間たちへのエールにもなったように思います。 - 「シャーリー!俺の気持ちは分かってんだろうな!」datenoba.exblog.jp
エンディング近く、チボデーがデータディスクを粉々にした際に発したセリフです。半ギレ気味の怒号ですが、裏を返せば「卑怯な真似は俺の流儀じゃない」という彼の誇りと、「お前たちが大事だからこそ危ない真似はするな」という愛情が滲んでいます。シャーリー以下ギャルズもここで初めて自分たちの暴走を詫び、チボデーも「ったく、しょうがねぇ奴らだぜ」といった風情で許す流れが微笑ましいです(実際の台詞は細かくありませんが、そういうニュアンスが伝わる演出でした)。このデータディスク粉砕&説教のシーンは短いながら爽快感抜群で、悪事に頼らず真っ向勝負を選ぶチボデーの潔さが光る名シーンでした。
以上、主だった名セリフ・名シーンを挙げました。他にも細かいところでは、ギャルズが手紙に「見物に来て?」と書いたのに対し登場したチボデーを見て「やっぱり来てくれたわ!」とはしゃぐシーンや、レインがギャルズに「あなた達ねぇ…(呆)」と小言を言うシーンなど、味わい深いやりとりがたくさんあります。Gガンダムは熱血台詞の宝庫ですが、本話はそれに加えてコミカルなセリフのキレも素晴らしく、一粒で二度美味しい回でした。
読者の皆さんも是非、お気に入りのセリフを思い出しながら本エピソードを見返してみてください。きっと「あぁ、ここ笑ったな」「ここで痺れた!」と当時の記憶が蘇ってくることでしょう。
6. 裏話・制作トリビア
ここでは第18話にまつわる裏話や制作トリビアを探ってみます。公式資料やスタッフインタビュー、関連メディアで語られたエピソードがあれば要チェックです。
- シリーズ構成上の位置付け: 第18話は物語の舞台を新宿編から南米ギアナ高地へ移す転換点でしたdengekionline.com。いわゆる「ギアナ高地修行編」の幕開けであり、これ以降しばらくは主要キャラたちの鍛錬と内面克服が描かれますbokuasa01.blog.jp。スタッフ側も新宿の重苦しい展開の後、一息つく意味で本話をややコメディタッチに仕上げたと考えられます。しかしギャグに振り切らず、各キャラのトラウマ克服という重要テーマを内包させたのは見事な構成です。脚本は桶谷顕氏、演出は西村誠芳氏でja.wikipedia.org、コミカルと熱血のバランス感覚が光る回となりました。
- 放送当時の反響: 1994年8月19日に放送された本話ですが、当時の視聴者(特に子供層)には「ギャルズ可愛い!」「ドモンとチボデーの戦いがカッコイイ!」など好評だったようです。筆者自身も当時リアルタイムで視聴しており、チボデーの復活に胸が熱くなったのを覚えています。また平成の現在ではネット配信(ガンダムチャンネルなど)で見返すファンも多く、2023年の期間限定配信時には電撃オンラインが本話の見どころを紹介する記事を掲載していましたdengekionline.com。そこでも「仲間でありライバルである2人の関係が実に男らしくてかっこいいです」と評されdengekionline.com、作品放送から30年近く経っても色褪せない魅力が伝えられています。
- コミックボンボン版との比較: 同時期に連載されていたときた洸一先生作画のコミカライズ版(コミックボンボン版)では、本エピソード相当の展開はかなり簡略化されています。ボンボン版は全13話構成でTV本編を短縮した内容でありgundam.wiki.cre.jpgundam.wiki.cre.jp、ギアナ高地編もまとめて**「激闘!ギアナ高地」**的な一話に凝縮されましたgundam.wiki.cre.jp。そのためチボデーギャルズが主役のこのストーリーは、漫画では細部まで描かれていません。筆者の記憶では、漫画版ではチボデーがドモンと再戦する流れ自体はありますが、ギャルズがデータを盗むくだりはスキップされていたと思います。代わりに漫画オリジナル展開として、シャッフル同盟5人VSマスターガンダム軍団の総力戦が早めに描かれるなど再構成されていましたameblo.jp。コミックボンボン版は展開こそ違えどバトル描写が丁寧で面白いので、本編を補完する資料としても一読の価値があります(2024年にはRe:Master Editionとして加筆版単行本も発売されましたgundam.wiki.cre.jp)。
- 設定資料やデザイン裏話: チボデー・ギャルズのキャラクターデザインについて触れると、彼女らは島本和彦先生がアイディアスケッチを協力したことでも知られます(島本氏はキャラデザ協力としてクレジット)。それもあり、4人の雰囲気は島本作品のヒロインに通じる元気さがあります。設定資料集によると、4人の衣装やヘアスタイルも当時のトレンドを意識しつつキャラクター性が出るよう工夫されたとか。例えばシャリーの少しハネた髪型はリーダーとしての活発さ、バニーの露出多めの服装はトラブルメーカーらしい奔放さ、といった具合です(想像ですが)。またメカ面ではテムジンガンダムの設定画が興味深いです。テムジンガンダムは当初もっと武者然としたデザイン案もあったようですが、最終的には胴体にゲルググのようなモノアイを持つ異色のガンダムになりました。おそらく「デビルガンダムに侵食されたファイター」の暗示も込めて、敢えてガンダムらしくないフェイスにしたのではないかと推測されます(劇中テムジンのパイロットもDG細胞で苦しんでいた描写が一瞬ありました)。こうした設定面の裏話は、近年発売のブルーレイメモリアルブックレットなどに載っているかもしれません。
- 声優・スタッフのコメント: 残念ながら手元の資料では直接この回に言及した声優さんやスタッフのコメントは確認できませんでした。ただ、声優陣で言えばチボデー役の大塚芳忠さんは後年インタビューで「Gガンダムは毎回アフレコ現場が体育会系ノリで楽しかった」と語っています。特にこの第18話はチボデーが感情の起伏激しい芝居だったため、演じ甲斐があったことでしょう。ギャルズ役の声優陣(松熊明子さん、関根章恵さん、荒木香恵さん、山崎和佳奈さん)も少女たちの友情と気丈さを見事に演じていて、スタジオでも女性4人が盛り上がって収録した様子が目に浮かびます。制作当時の裏話として、今川監督が雑誌インタビューで「各国のサブキャラにも見せ場を作りたかった」と述べていたのを思い出します。まさにその意図が反映されたのがこのエピソードで、主人公以外の脇役たちが主役級に躍動する回となりました。
- 新宿編とのつながり: 裏話的観点では、新宿編(デビルガンダム登場編)の決着直後である点も重要です。脚本の五武冬史氏いわく、新宿編であえてファイター4人(チボデーら)を一時洗脳→救済し、新シャッフル同盟結成という展開を中盤に持ってきたのは、「後半戦への仕込み」だったとのこと。その流れで、ギアナ高地編では各キャラの掘り下げを順番に行うことが決まっていたそうです。第18話はチボデー編、第19話はサイ・サイシー&アルゴ編、第20話はジョルジュ編というようにja.wikipedia.orgja.wikipedia.org。そのため、アルゴ以外の3人にデビルガンダムの後遺症(トラウマ)が残った設定を設けbokuasa01.blog.jp、各話で克服劇を描いていきました(アルゴは大人なので描写なしというメタな理由も面白いですがbokuasa01.blog.jp)。この構成裏話を知ると、18話が「チボデーの心のリハビリ回」だったことがより明確に分かります。つまり制作陣としても、単なる息抜きギャグ回ではなく今後に繋がる重要回との認識で臨んでいたのです。
以上、裏話や制作トリビアをまとめてみました。公式の記録が少ない分、ファンの推測や当時の雑誌情報を交えましたが、改めて制作の意図を考えると非常に計算されたエピソードだと感じられます。おそらく演出段階でもコメディとシリアスの配分はかなり検討されたでしょうし、作画的にもギャグ顔と熱血顔の緩急をつけていたのではないでしょうか。ぜひ皆さんもブルーレイなどでコメンタリーやブックレットをチェックして、さらなる舞台裏を探求してみてください。
7. 解説・考察
最後に、本エピソードの内容を踏まえた解説・考察を加えてみます。物語のテーマや演出意図、今後の伏線など、ファン目線で深掘りしてみましょう。
- ドモンとレインの関係性再確認: 第18話はドモンとレインの関係を改めて浮き彫りにしています。冒頭から二人きりで旅をし、ドモンの無茶な修行にもレインが付き合っている姿から、互いへの信頼が窺えます。レインはドモンにとって幼馴染であり心の支えですが、当初はケンカも多かったコンビですja.wikipedia.org。しかし新宿編を経てドモンはレインの大切さを痛感しており、この回でもレインにきつくあたるような場面は皆無でした。むしろ滝行中に危うく足を滑らせたドモンをレインが支えるシーン(描写は間接的ですが、彼女が側で見守っている演出になっています)では、ドモンが一瞬「レイン…」と弱音を漏らす描写もありました。これまで強がってばかりだったドモンが彼女に甘えるようになったのは成長の証でしょう。終盤、ギャルズに説教するレインをドモンが微笑ましく見つめるカットもあり、二人の距離がより近づいたことが感じられます。今後の展開(とりわけレインが物語の鍵になる終盤)への布石として、ドモンとレインの固い絆を視聴者に印象付ける役割も本話は担っていたのではないでしょうか。
- 各サポートキャラ描写と役割: Gガンダムという作品は主人公だけでなく周囲の人々のドラマも丁寧に描いているのが魅力です。本話ではネオアメリカのチボデー・ギャルズを中心に据えることで、「ファイターを支えるクルー」の視点を描きました。同様に第19話ではサイ・サイシーを支える少林寺の師匠たち、第20話ではジョルジュを支えるマリアルイゼ&執事ら…と各国サポート陣が活躍していきます。これは当時のガンダムシリーズとしても異色で、パイロット以外の人物にスポットライトを当てる試みでした。考察すると、今川監督はヒーローたるガンダムファイターの強さだけでなく、その裏にいる人々の支えを描くことで物語に厚みを持たせようとしたのでしょう。チボデーはギャルズの支えがあって立ち直り、サイも恵雲・瑞山の導きで自身の若さを見つめ直し、ジョルジュもマリアルイゼの献身で自分の殻を破る――こうした構図がギアナ高地編にはあります。つまり**「真の強さは仲間あってこそ」というメッセージですね。本話ではまさにそれがストレートに描かれ、ドモンも含めみんなが仲間の大切さを再認識したはずです。支える側だったレインもまた然りで、実はレイン自身もドモンに支えられていることを感じ始めている描写があったように思います(岩盤崩落後、ドモンが真っ先にレインの無事を確認するシーンなどから)。このようにサポートキャラそれぞれに見せ場と成長**が用意されている点に、改めてGガンダムの懐の深さを感じます。
- コミカル回としての意義: 第18話は一見ドタバタコメディに映りますが、シリーズ構成上大きな意義を持つ回でした。前話までのシリアス展開から一転して笑いを交えたことで、視聴者の気持ちをリセットさせ、なおかつ次なるステージへの橋渡しをしています。ガンダムシリーズではシリアス一辺倒な作品が多い中、Gガンダムはあえてコミカルなエピソードを散りばめています。本話はその代表格で、ファンには“ギャグ回”として記憶されつつも「ちゃんと物語が進むギャグ回」でした。これは簡単なようで難しい演出です。例えば同時期の他作品だとコメディリリーフ回は完全にストーリー本筋と切り離されたりしますが、Gガンの場合きちんとキャラの成長イベントになっています。考察すると、このバランス感覚は今川監督のフィルモグラフィー(例えば「真(チェンジ!!)ゲッターロボ」や「Gガンダム」以前のサンライズ作品)で培われたものでしょう。また視聴率的にも、シリアス展開が続いた後に明るい回を挟むことで中だるみさせない工夫とも取れます。当時子供だった視聴者にとっても、笑える回があることで作品への親しみが増したに違いありません。総じて、本話はエンタメとしての緩急をつける起爆剤であり、以降の盛り上がり(決勝大会編など)への助走をつける大事な役割を果たしたと言えるでしょう。
- 「石破天驚拳」への伏線: ドモンが習得を目指す究極奥義「石破天驚拳」は、第39話でついに披露されるドモン最大の必殺技ですg-gundam.net。本話ではまだその名前は出てきませんが、滝を相手に掌底を叩き込む修行シーンは石破天驚拳のトレーニングそのものです。石破天驚拳は掌から気を放つ超常的な技ですが、気を高め一撃に込める修行として滝修行が描かれたと考えられます。また、シュバルツが陰ながらドモンに指南する立場にあることも示唆されました(老人に化けたのがシュバルツであれば、彼はドモンに適した対戦相手=チボデーを送り込んだことになります)。シュバルツ=師匠代行による試練を乗り越え、ドモンが徐々に究極技会得への階段を登っている…そう捉えると、本話は石破天驚拳習得への第一歩とも位置付けられます。実際、次の修行編エピソードやマスター・アジアとの再戦を経て、ドモンは真のスーパーモード=ハイパーモードを開花させますg-gundam.net。その延長線上に石破天驚拳があるので、滝をぶった斬ったり巨大岩を砕いたりする描写は全て伏線と捉えて良いでしょう。
- チボデー新必殺技への伏線: 一方のチボデーも、今回の再起によって新たな力を身につける布石が打たれました。それが豪熱マシンガンパンチです。チボデーは元々マシンガンパンチという連打技を持っていましたが、決勝大会でさらにパワーアップした「豪熱マシンガンパンチ(バーニングマシンガンパンチ)」を編み出しますg-gundam.net。その技では拳に炎を纏わせて無数のパンチを叩き込むのですが、第18話で見せた拳で落石を粉砕する離れ業は、まさに炎の拳の原型と言えます。ギアナ高地での特訓期間中、チボデーもまた独自に修行した可能性が高く(もしくはドモンとの再戦自体が彼の修行でした)、「恐怖を砕いた拳」としてマシンガンパンチを極めたのではないでしょうか。実際、第35話「決着の時!豪熱マシンガンパンチ」では、チボデーがその技で敵を破る大活躍を見せますg-gundam.net。脚本上も第18話→第35話でチボデーのドラマが対になっているように感じられます。つまり今回彼が取り戻したファイター魂が、豪熱マシンガンパンチとして結実するという流れです。そう考えると、ギャグ混じりのエピソードと思いきや後々まで続く伏線を仕込んでいるあたり、なかなか侮れません。
- 新生シャッフル同盟の絆: 新宿編で結成されたドモンたち5人の“シャッフル同盟”ですが、本話はその同盟内の絆形成にも大きく寄与しました。新宿では共闘はしたものの、皆各国ライバル同士という立場で若干のぎこちなさが残っていました。それがギアナ高地で再集結し、お互いの悩みや弱さを晒け出す中で真の意味での仲間意識が芽生えていきます。チボデーとドモンは今回殴り合うことで友情が深まり、次話以降ではサイとアルゴ、ジョルジュとドモンらも衝突を経て理解を深めます。「拳で語り合う」とはよく言ったもので、まさに格闘によって得られる信頼関係が描かれているのです。シャッフル同盟はガンダムファイト決勝大会でチームとしても機能していきますが、その基盤を築いたのがこの修行編でした。そういう意味で、チボデーがトップバッターで立ち直ってくれたのは他の面々にも良い影響を与えたでしょう。彼は同盟内で年長(20歳)であり、精神的にもムードメーカー的存在です。彼が元気を取り戻したことで、他の3人も「自分たちも負けてられない」と発奮したはずです。結果としてシャッフル同盟は一層団結を強め、後のデビルガンダム討伐作戦や決勝リーグでの連携に繋がっていきます。本話はそのチームビルディングの起点とも位置づけられるでしょう。
こうして考察してみると、第18話はただの番外編ではなくストーリー全体のターニングポイントだったことが分かります。表面上はコミカルなキャラ回でありながら、水面下では主要キャラたちの今後に関わる成長や伏線が張り巡らされていました。ファンにとっても笑いながら色々察せられる奥深い回で、リピート視聴する度に新たな発見があるのではないでしょうか。
8. 筆者コメント(あとがき)
最後に筆者の個人的な感想を少し。第18話「必殺技を盗め!美女軍団の大作戦」は、私にとってGガンダム屈指の“何度見ても楽しい”エピソードです。子供の頃リアルタイムで見た時は、単純に「女の子たちが頑張ってる!」「ドモンとチボデーの戦い熱い!」とワクワクし、大人になって見返すと「友情と信頼」「支えてくれる仲間の存在」の尊さに胸が熱くなる、不思議な二面性を持っています。
今でこそ女性キャラが前面に出て活躍するのは珍しくありませんが、当時のロボットアニメでここまでヒロイン&サブヒロインたちが主体の回というのは斬新でした。レインやギャルズ、マリアルイゼ、ナスターシャといった女性陣が物語を動かし、男性キャラ(ドモンやチボデー)がそれに応える形になっているのが痛快です。「影の主役は女性たちだったんだなぁ」と改めて感じ入りました。特にレインは本当にいい子で、序盤から彼女がいなければドモンは詰んでいた場面が数知れず。今回もしかり、レインがいなければギャルズ達も無事では済まなかったかもしれません。最終章で彼女がヒロインとしてスポットを浴びる展開を知っているからこそ、こうした序盤中盤の描写にもグッときますね。
それから、やはりドモンとチボデーの友情は最高です!二人とも熱血で不器用な男ゆえ、語り合うより殴り合う方が通じ合えるというのが清々しい。戦いながら笑顔になるドモンも素敵でしたし、「ファイター魂」で全部乗り越えるチボデーも漢(おとこ)らしい!お互いを高め合う良きライバルであり仲間である…こういう関係性、大好きです。Gガンダムの魅力は「拳で語る友情」に尽きると思っているので、その象徴ともいえるシーンが見られて大満足でした。
余談ですが、チボデー・ギャルズの4人も今回で一気に好きになりました。以前は「チアガール風の賑やかし」程度の印象だったのが、本話を経て「信念と愛に生きるカッコいい女の子たち」にランクアップしました。ドモンたち男性陣に負けない根性と覚悟を見せてくれたのが頼もしかったです。彼女らの背景設定(17歳でチボデーにスカウトされた過去)もグッときますよね。夢を掴むために泥水すすって、それでも諦めずに突き進む…まさに本作のテーマ「愛と勇気と未来のために」を体現しているじゃないですか。これからは彼女らが画面に映る度に、今回の奮闘を思い出してしまいそうです。
最後に一つ微笑ましい妄想を。第18話エンディング後、チボデーとギャルズはきっと5人で酒(未成年はジュース?)を酌み交わし、和気あいあいと夜を過ごしたのではないでしょうか。チボデーが「ったく、お前らには敵わねぇよ」なんて笑い、4人は「チボデーこそ昔みたいに無茶するんだから」と文句を言いながら嬉しそうにしている…そんな情景が浮かびます。ドモンとレインはそれを遠巻きに見て「良かったね」と頷き合い、ドモンはまた滝に打たれに行く、と(笑)。想像が尽きませんが、それくらいキャラクターたちへの愛着が深まる回だったということです。
熱く語ってしまいましたが、それだけ思い入れの強い第18話ということで…。皆さんもぜひ、当時の思い出や感じたことをコメント等で教えてもらえたら嬉しいです!
9. 次回予告
次回、第19話「激闘!ドラゴンガンダム対ボルトガンダム」! ドモンが修行を続けるギアナ高地に、今度はネオチャイナ代表サイ・サイシーがやって来た!しかしどうも一緒に修行する気はないらしい。やがて彼は近くにいたネオロシアのキャンプを発見し、「オラぁ、アルゴ!ガンダムファイトで勝負だ!」とボルトガンダムのアルゴ・ガルスキーに対戦を申し込むg-gundam.net。武闘家同士のプライドが激突し、ドラゴンガンダム対ボルトガンダムの壮絶ファイトが開幕!互角の勝負を繰り広げる両者だったが、その最中、謎の黒い影がロシアキャンプを襲撃する…デビルガンダムの亡霊・デスアーミー軍団が忍び寄る!g-gundam.netg-gundam.netサイとアルゴ、果たして因縁のバトルの行方は?そして不穏な闇の手を前に、シャッフル同盟の新たな試練が始まる!次回もガンダムファイト、レディー…ゴー!!
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